彼女の話

なんという赤!

投稿日:

無理して笑ってるでしょ


男は目の前にいたのだが、彼女は
こいつ後ろから私を見ている、と悟った。
私のななめ後ろにいて、仮面と顔の境目にできた影を見てる、と思った。


はっと気づいた時、男はさらに畳みかけるように言った。

少しは自分のことも話して、仲良くしないと浮くよ


そう言われた瞬間、恥ずかしさと怒りと罪悪感で身体中の体液という体液が一気に沸点まで達しそれらが目から噴き零れ始めほとばしって男の顔や肩に飛び散るのを見た気がした。


「   ・・・    ・   」

吐き出そうとした言葉は彼女の腫れた甲状腺でつっかかった。


なんて粗雑で乱暴なんだろう。こいつは自分が一体何を言っているのかわかっているのか。
彼女は怒りで我を忘れそうになった。

体液のほとんどは血となって視界を覆った。目の前は真っ赤だった。身体中のすべての血が眼球の周りに集まったおかげで脳はガス欠でプスプス声を上げていた。心臓も苦しい、いきができない。

逢魔が時のような、なんという赤!あつい目がすごくあつい!



そうやって燃えてしまった彼女はあの日の枯葉みたいになったのだ。




なんという赤!

-彼女の話

執筆者:

関連記事

noimage

彼女の頭の中のいちばん外側

彼女はいつも自分は結局一体なんなのだろう、と考える。 自分の行動を振り返る。 その時にそれは一般的な行動であったのか、 それとも自分の本来の性格によるものだったのか、 そして、それとも自分のその気質の …

数字と中学生と彼女

数字と中学生と彼女

彼女は数字が大嫌いだ。 彼女は最近期末テストを間近に控えた中学生と話すことがあった。 この中学生の直近の問題は試験初日の数学だそうで彼女は気の毒で仕方がなかった。 聞けばこの子はもう数学教師がもはや日 …

noimage

彼女の最大の矛盾2

彼女は、どんなに悪いことが起こったとしても最後は必ず良いほうに帰結していくのだから 基本的に人生は楽しいことしかない、と思っている。 彼女は、たとえば誰かがしあわせになれることで、 それと引き換えに自 …

noimage

どきどきする

彼女はときどき動悸がする。 甲状腺に軽い疾患があるためそのせいかもしれない。 一度始まると立ち上がるだけで息が上がるようになってしまうため できればおさまるまで深くゆっくり深呼吸しながら横になっている …

noimage

アンビバレンス3

僕は彼女に何か言うということはほとんどないのだが、 この日はなんとなく口にしてしまった。 君が時々行っちゃうあっちの世界だけど、別に完全にさよならすることはないんじゃないの。 彼女は相変わらずの寝ぼけ …

noimage

2020/03/17

意味

noimage

2020/01/31

メロディの輪郭

noimage

2020/01/29

真くろの向こう

記事内の彼女の絵や写真。
2020年5月
« 3月    
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031
This error message is only visible to WordPress admins

Error: No connected account.

Please go to the Instagram Feed settings page to connect an account.

にほんブログ村 メンタルヘルスブログ HSPへにほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へにほんブログ村 美術ブログへ