彼女の話

ベスト

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職場からの帰り道、彼女はよくその日のことを省みる。
そして自然と”ベストではなかったこと”を探す。

どうしてそれがベストだと思えないのか。
モヤモヤしながらその理由を考えようとする。
理由が思いつかないと自分がベストを尽くせなかったのか、と
そういうところに落ち着いてしまう。

今も昔も彼女の仕事は一人で完結できるものが多かった。
仕事でもプライベートでも人とコミュニケーションをとることが
極端に少ない。
”うん、これがいいね”
”ベストではないかもしれないけど、その時はまた考えよう”
そう言ってくれる相手がおらず、いつもなんとなく確証がもてない。
「あれでよかったのか?」「あの時のあの人のリアクション…」
「あの言い方じゃなく」「あのやり方じゃなく」「今思えば…」
重箱の隅を自らつつくような止まらない不全感。
そもそもすべてがベストである必要はない。
彼女はそれらをはき違えている。

日が少しずつ長くなってきた。
帰り道に足元の自分の影すら見えないという日々が
また終わろうとしている。

-彼女の話

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