彼女の話

たくさんの小さなうれしいこと

投稿日:

朝、静かに降る雨のおかげで
彼女はとても落ち着いた気持ちで目を覚ますことができた。

外出先のお店で、この間まで体調不良を訴えていた店員さんが
病院で薬をもらってすっかり元気になっていた。

家に帰ったとき、お店に傘を忘れていることを
この時の店員さんがわざわざ連絡してきてくれた。

束の間、晴れ間をのぞかせた午後、
雨に濡れてキラキラ光る桜と目が合った。

家族のことやPTAのこと、GWの計画のことなどを毎日一生懸命こなしている
勤め先のパートさんはかっこいい。

会社を退勤するとき、まだものすごく忙しいはずの上司が
慌てるように彼女を呼び止め、雨は大丈夫かひどく降っていないかと声をかけてくれた。

大好きな海鮮丼がスーパーで半額になっていた。

ひどく疲れているような気がして、珍しく誰かと話したいと思っていると
タイムリーに友人からメッセージがきた。


普段気づいていないだけかもしれないけれど、
彼女は思えばこの日は小さな嬉しいことがたくさんあったなと振り返っていた。
そしてそれらの多くは誰かと接したことによるものだったということにきづいた。
いつしか面倒ごとしか持ってこないと思っていた他人が
こんなにもちょこちょこ幸せを運んでくれたということにきづいた。

彼女は自分を恥ずかしくも思ったし、照れくさくなった。



たくさんの小さなうれしいこと

-彼女の話

執筆者:

関連記事

雪の夜

雪の夜

夜道を歩く彼女の前にひとつの雪の塊りが降りてきた。 降ってきたのはたったひとつで、見上げてもそれに続くものはないかに見えた。 たったひとつで降りてきて、寂しかったろうなと思ったものの 宙を舞う小さなゴ …

彼女の洞窟リテラシー

彼女の洞窟リテラシー

彼女は本当はずっと小さな頃からずっとずっと感じていたのだ。 自分は何か違うということを。 どんなに自己主張が強くてもちっとも伝わらないことはどこかで分かっていた。 むしろあの頃の方が自分の中の宇宙に気 …

彼女のおでかけー駅

彼女のおでかけー駅

彼女が駅をつかうようになったのはごくごく最近のことだ。 彼女が生まれ育った場所には駅はなくほとんど小説の中の想像上の場所だった。 ラピュタみたいなものだった。 今彼女が住む町には駅がある。 ベッドタウ …

彼女に触れるもの

彼女に触れるもの

彼女はピッタリ肌にはりつくような服は嫌いだ。 窮屈で身に着けたがらない。 ダボっとしたのやふわふわした服をよく来ている。 ワンピースは好きだ。 もちろんチクチクする化学繊維のニットやマフラーなんかもよ …

noimage

・線アフォーダンス

腱鞘炎が未だ治まらず点をあまり打たなくなった彼女は以前より線を多く引くようになった。 線を描いているときの彼女はすごく伸び伸びしているように見える。 なんというかもう少し大きなスケッチブックに描いたら …

noimage

2020/03/17

意味

noimage

2020/01/31

メロディの輪郭

noimage

2020/01/29

真くろの向こう

記事内の彼女の絵や写真。
2020年10月
« 3月    
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  
This error message is only visible to WordPress admins

Error: No connected account.

Please go to the Instagram Feed settings page to connect an account.

にほんブログ村 メンタルヘルスブログ HSPへにほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へにほんブログ村 美術ブログへ