彼女の話

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そういうわけで彼女は以前ほど酒を飲まなくなった。
確かにアルコールは血糖値に響く。
酒は糖分豊富だからと思いがちだが、
アルコールを分解するのに必死の間、
肝臓はブトウ等を十分に供給できない。

数回にわたって低血糖症を起こしたとき、
実際は彼女はそれほど飲んでいたわけではなかった。
全く飲んでいない日もあったほどだから、
直接の原因ではないにしてもよほど怖い目にあったのだろう、
酒の量は激減した。

一時期彼女はかなり酒を飲んでいた。
体が小さい分、人と同じ量を飲んでも体への負担は同じではない。
彼女は今「どうしてあんなにも飲んでいたのかな」とつぶやく。
「いろいろもったいないよね」と。

彼女は自分はただの酒好きだと思っていた。
やることもないし、思考を止める方法でもあった。
考えたくも思い出したくもないことが
数時間前のことから何年も前のことまで
バカみたいに鮮明に表れては乱して消えて行く。
それらを溺れさせるように上から流し込む。

飲み続けていると彼女はいつの間にか
決まってスケッチブックを開いていた。
あるときはしくしく泣きながら
あるときは激しく鉛筆を動かし続けた。
死に物狂いの溺れかけた彼女の側面。

彼女はあまり飲まなくなって、
スケッチブックを開くことも減った。
あの時いた彼女の側面、文字通りのその顔は
今どうしているのだろう。

-彼女の話

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