彼女の話

安心のための食いしばり

投稿日:


彼女の城は彼女にとって大体は心地のいい場所であることは間違いないが、
僕はそこで落ち着かない。

冬の彼女の大事なパートナーコタツはテレビの正面に配置されている。
映画をみるときの彼女の定位置だ。
ただしコタツというのは日々少しずつ位置がズレていくことがあるようで
微妙にテレビの真正面から外れていく。
ある日映画をみようとそこへ座った彼女は
テレビの状態表示のLEDが中心にないことに気付く。
そしてせっせとカーペットとコタツから元の位置に戻していく。
少しでもズレていると気になって仕方ない。

冬用のベッドシーツに毛玉がついてきて、
ケアをしなければと思いながら面倒でやっていない。
裏返して使えば気にならないが、うっかりそれを忘れてしまうと
体をふとんに入れた瞬間に足にあたる小さなぷつぷつに目が覚める。
夜中でも掛けふとんやら毛布やら全部引っぺがしてシーツを直す。

他にも顔をふくタオル、椅子の角度、照明の明るさ、
一緒にいるといちいちそれらを調節する彼女に
こっちはまったく落ち着かない。
その度に腰をあげて移動させられたり、
顎で使われた挙句に機微な調整について行けずため息をつかれる。
はっきり言うけど面倒くさい。
どうしてそんなことが気になるのか分からない。

彼女は自分のそんなところをどう思っているのだろう。
時々うんざりするような声をあげているし、
根が不精だから面倒だと思っていることはたぶん間違いない。
それでも動かずにはいられない。

彼女の食いしばりは今も続いている。

-彼女の話

執筆者:

関連記事

3月9日

3月9日

今日は3月9日だ。 3月9日と言えばレミオロメンだ。 最近では卒業ソングの定番らしい。 彼女は卒業式に特になんの思い入れも思い出もないが、 高校の卒業式だけは死ぬほどうれしかったのを覚えている。 10 …

人にやさしくするということ

人にやさしくするということ

彼女は人にやさしくするとはどういうことだろうとこれもまた長年考えている。 彼女は別にやさしくないわけではない。 でもそれが果たして本当に自分の内面からくるやさしさなのか、それはわからないという。 &n …

彼女の隣人

彼女の隣人

彼女の城の隣では最近何か変化が起きたようだ。 時々宅配のおにいさんがピンポンを鳴らしたりしていたから 誰か住んでいるのは確かなようだった。 2,3ヶ月前まで隣人はおそらくほとんど帰っていないか、 もし …

noimage

”HSPは恋に落ちやすい” この”恋”は本当に恋だろうか。 彼女が恋をしているかもしれない。 しかもガチでリアルかもしれない。 もしそうなら、かなりしばらくぶりだ。 彼女の恋愛 …

恋判定

判定

その人について考えが止まらない間、他のことが完全に飛んでしまう。 そしてそれは彼女が彼女であるという自信を喪失させ、 自分が自分ではなく、誰かに乗っ取られてしまったかのような不安が押し寄せてくる。 そ …

noimage

2020/03/17

意味

noimage

2020/01/31

メロディの輪郭

noimage

2020/01/29

真くろの向こう

記事内の彼女の絵や写真。
2020年9月
« 3月    
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  
This error message is only visible to WordPress admins

Error: No connected account.

Please go to the Instagram Feed settings page to connect an account.

にほんブログ村 メンタルヘルスブログ HSPへにほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へにほんブログ村 美術ブログへ