彼女の話

ライフ

投稿日:2017年4月11日 更新日:

映画『LIFE!/ライフ(The Secret Life of Walter Mitty、2013)』の冒頭では
HSPにはかなり耳障りな時計の秒針音がつづく。
最初の3分間にも満たないわずかな時間の中で、
主人公のウォルターの感情はいくつにも変化し移行していくのだが、
この間時計の秒針音だけがまったく感情を持たないBGMのように単調に響いている。
彼が刑務所みたいなアパートの廊下に出るまで。

彼女はこの映画が好きで何度も観ているのだが、
この最初の3分弱だけは苦手で
いつもその秒針音を聞きながら発信元の時計ばかりを探している。
いつも音が気になってイマイチ入り込みがうまくいかないらしい。


最近彼女はまたこの映画を観ていた。
彼女はこの映画に出てくる雑誌LIFEのスローガンが好きなのだ。


LIFE誌の標語はこうだ。

TO SEE THE WORLD, THINGS DANGEROUS TO COME TO,
TO SEE BEHIND WALLS, TO DRAW CLOSER,
TO FIND EACH OTHER AND TO FEEL.
THAT IS THE PURPOSE OF LIFE.

世界を見よう 危険でも立ち向かおう
壁の裏側をのぞこう もっと近づこう
お互いを知ろう そして感じよう
それがライフの目的だから

(『LIFE!/ライフ(The Secret Life of Walter Mitty、2013)』字幕翻訳:栗原とみ子)より引用


かっこいい。
彼女はただ純粋にかっこいいなぁ、かっこいいなぁと今まで思っていたのだが、
今回は少し見方が変わったようだった。


彼女は自分の足元を見ている。
「自分にとっての危険とは今なんだろう。
その壁はどこにあって、裏側には何があるんだろう。
何に近づいて、だれのことを知ったら、感じたらいいんだろう。」


彼女はおそらく分かっているのだ。
彼女のステップアウト。
外に出よう外に出よう。
あの秒針音がまとわりついて離れない。

-彼女の話

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