彼女の話

彼女と迷子の落ち葉

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ここ1か月くらい彼女の部屋の床には落ち葉が散らばっている。

まとめて置いておいたのだが、エアコンの風に吹き飛ばされたり、うっかり蹴とばしてしまったりして、

まただんだんと色んな所へ広がりをみせている。

 

彼女は絵をかいたり写真をとったり、ただ眺めるためだけに見つけた落ち葉を拾ってくる。

そのあとはいつも土のあるところへ持っていってかえすのだが、

今まで土のあったところは何かの工事が始まってすべすべのコンクリートになった。

落ち葉は帰るところを失って彼女の部屋の中で迷子になっている。

彼女は気の毒になってしまって、さらってきてしまって悪かったなあと思っている。

 

その辺の民家にはまだ庭があったりして夜にでもこっそりその中に放り込んでおこうかとも思うのだが、向こうからしたらごみの放棄だろうし、

それからそれが単なる自己満足であっても彼女は土の上に帰った彼らの姿をみたいのだ。

夜だと真っ暗だし、そんな中に帰すのもかわいそうな気もするし。寒いし。

 

どうしようかなどうしようかなと毎日眺めながら、

そのうちほんとの落ち葉のじゅうたんになるかもな、と彼女は時折にやりとする。

-彼女の話

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