彼女の話

彼女の絵

投稿日:2016年11月19日 更新日:

彼女は昔はわりと見やすい、というか「理解しやすい」点描画をよく描いていた。

白黒の世界をとても愛し、白い紙に黒い点々を延々と描いていた。

花とか赤ん坊の顔とか自分の手とか壁にかかった白いシャツとか。

 

白黒の世界が好きなのは今も変わらないが、

今はもっと、なんていうか、手が動くままに描くようになった。

以前のように点描画用のペンだけじゃなく、

ボールペンとかサインペンとか鉛筆とか黒いものならなんでも使う。

紙も画用紙がなければコピー用紙でもチラシの裏でも。

描きたいとき描けるものがあれば大丈夫になった。

 

点だけじゃなくて線も描くようになった。

あまり融通を利かすことができない彼女からすると少し自由度が増した。

 

職場で裏紙に描かれた彼女の絵を見て、彼女の同僚は

「精神異常の人が描いた絵みたいだ」

と冗談交じりに不気味がった。

「こわいから描くのをやめて」

 

それからはすぐにポケットに隠せるキッチンペーパーに描くようになった。

この世界では自分の自由度が増すと社会での自由度は失われる。の、かも。

白か黒か、みたいな。

 

キッチンペーパーに描いた絵を彼女はゴミと一緒に捨てている。

 
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