彼女の話

意識する彼女

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彼女は気性が激しい。
それは彼女がなかなか人と親しくならない理由の一つでもある。
泥の下でプスプスとグラついている熱情が火柱を上げて瞬発的に顕現するのを恐れている。
そうやって自分が傷つけてきた人たちを彼女は覚えている。
排他を続けた今彼女は




彼女は鏡を見つめる。
だんだん鏡に映っているのは本当に自分だろうかと嫌疑する。
このまま見続けていれば鏡の向こうの人間は嫌らしくニヒリストするのではないか。
このまま見続けてみてみようか…

食欲がないのに空腹になるのは
空腹を感じている別の人間がいるのではないか。
だって「私は」食べたくないのだから。




今目の前で話しているこの人は、
果たして本当に「私」と話をしているのだろうか…?




彼女の自我体験は
思春期をとうに過ぎた今なお鮮明に続いてる。




置いていってはいけない。
義務がある。責任がある。生活がある。そして生きていかなければならない。
それでも
鏡の中のニヒリストを、
自分の中でお腹を空かせている別の人間を、
今目の前の社会と話をしてくれている得体の知れないその人を、
彼女は置いていけない。




血が煮えたぎるようなイラつきは
戻ることも進むことも出来ずにいる思春期に似て、
今はどちらにも足を突っ込んだまま抜け出せなくなった彼女。
それでも彼女が”自分”を、”自分が何者であるか”を意識している限り、
どこからか何かが流れ出すはずなのだ。

-彼女の話

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