彼女の話

彼女と冬のあたたかみ

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ぶぅぅぅぅ‥‥‥‥ん




冬の夜、眠りにつく頃
どこからともなく聞こえてくるエアコンの室外機が生む軽い低音。
彼女の城のご近所で誰かが暖房をきかせている。
彼女はその音がいつだって好きだ。
疲れていても苦しくても穏やかでいてもいつだって。




夜中3時
ふと目を覚ましてカーテンを開ける。
遠くに見える川向こうのマンションのいくつかに明かりが灯っている。




朝方5時半
電車の通り過ぎる音が遠くできこえる。
風向きによっては車掌の声が僅かに空気に乗って夢の中のように響く。
まだ世界は暗い。




それでもそれらはいつもあたたかい。
彼女は冷たい水に沈んでなお呼吸ができる絶大な安心感を覚える。




そこに誰かがいる。
自分は彼らと同じ冷たい空気の昏い世界にいる。




そこにいるのはじぶんだけではない。




強烈な孤独を見て見ぬふりをする彼女が
そんな自分をひどく意識する時間。




誰かを乾いてあたたかな風で包む機械音。
誰かが活動する明かり。
誰かのために動く電車と誰かの声。
確認しては安心して眠りにつき、
冷たい夜にぬくもった布団を抜け出してでも
目にも耳にもしてもおきたい冬のあたたかみ。

-彼女の話

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