彼女の話

この冬の彼女

投稿日:


訪ねたとき彼女はいなかった。
この気温の低い時期、彼女が外出することはほとんどない。
一瞬変な感じがしないでもなかったが、
そう、彼女は「特に生きたくもないが、死にたくもない」のだ。
どこかにいる。




近所をウロウロしてみると、向こうの橋の上に彼女がいた。
寒さを極端に嫌う彼女が北風に吹かれて橋の真中に立っていた。
こころなしか上がっているようにも見える口角。




その内彼女は歩き出すと
近くの小さな小さな神社へ吸い込まれるように入っていった。
彼女の城がある土地の氏神だろう。
今はほとんど人がいることはない。




そうこうしているうちに彼女は戻ってきた。
僕が見えていないかのように目の前を通り抜け
そのまますぅっと城のドアに吸い込まれると、
ぱたんと閉めた。

-彼女の話

執筆者:

関連記事

noimage

ある朝

彼女はもう何年も飲まない日の方が少ない毎日だった。 飲みすぎることも時にはあったが、ほとんどは彼女の日々のささやかな楽しみであった。 ある朝彼女はいつものように目を醒まし、 いつものように布団から抜け …

忘れていく彼女―ことば

忘れていく彼女 -ことば

前回のつづき 彼女はこうやって自分の記憶があまり正確でも信用できるものでもないようだと気づいたとき、 それまでよりも余計に自分がふわふわしたところにいる感覚が強くなってしまった。 小さいころから自分が …

noimage

共鳴する彼女

彼女は知らない人と話すが苦手だ。 それにも関わらず見知らぬ人に話しかけられやすい。 たとえば職場に新しい人が入ってきたとき、 彼女はできるだけ自分の存在を薄く薄く振る舞い、必要に応じて あの「どうか話 …

純音の朝

純音の朝

いつまでこんな夜を いつまでこんな朝を 一体いつまで、続けるのだろう。 どうしてこうなってしまったんだろう。 どうしてこんなにもひとりになってしまったんだろう。 毎朝聴くあの無機質な音。 彼女自身が作 …

noimage

沿線生活

彼女は昔お金がとてもなかったとき、 線路沿いの安いアパートに住んでいた。 すごく安かったけど、すごくうるさかった。 騒音や刺激に打たれ強い人だって線路沿いの部屋は安くても避ける。 だれだって静かな生活 …

noimage

2020/03/17

意味

noimage

2020/01/31

メロディの輪郭

noimage

2020/01/29

真くろの向こう

記事内の彼女の絵や写真。
2020年11月
« 3月    
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30  
This error message is only visible to WordPress admins

Error: No connected account.

Please go to the Instagram Feed settings page to connect an account.

にほんブログ村 メンタルヘルスブログ HSPへにほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へにほんブログ村 美術ブログへ