HSPとその他の話

”神経質”な夏の食事

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彼女が自発的に食事を摂るようになってきた。
彼女は牛乳プリンを食べた。


食事をするようになったのはかなりの前進ではあるが、時季が悪い。とにかく悪い。
夏は一年で彼女がもっとも食べたがらない季節だ。

暑さももちろんある。
健康な人間だって、ことに今年のような暑さだと食欲も失せる。
それに加えて彼女にとってはその味覚の敏感さが食を細くする。

この季節は確かに冷蔵庫に入れていたってモノが悪くなりやすい。
そしていつも以上に彼女は食べ物の味に非常に敏感になってしまう。

開封して二日目の牛乳を入れたコーヒーが「変な味がする」、と言い出す。
昨日買ってきたばかりのサラダを食べても「苦い」「くさい」と言って食べるのをやめてしまう。
ただでさえ食欲がなくて食べられるものが限られているのに、なかなか進まないのである。
同じものを口にしても悪いが僕は全く共感できない。



彼女は子供のころからこうだった。
周りの大人たちは神経質だ、悪くなってなどいないのだから食べなさい、と彼女を叱責した。
彼女が食べないと大人は不機嫌になった。

これは仕方のないことだ。
食事に出すものにイチイチこんなことを言われたんじゃ用意する方は辟易してしまう。
その度に特にアレルギーがあるわけでもない彼女の為だけに別の新たなメニューを毎度用意することはできない。

しかし結果彼女はよくお腹をこわした。
”悪くなっているかもしれないもの”と思い込んで食べてしまうからか、
実際にわずかな菌が彼女の敏感な胃腸を刺激したのか分からないが、
大人の困った様子に耐えられない時は無理して口にしお腹をピーピー言わせていたのである。

食べないなら食べないで、時間が経つにつれてひどく空腹感が増し、
それはそれで途端にエネルギー切れになって疲労した。

彼女はいつも苦痛だった。
人にも気を遣うし、体はみんなと違う反応を示して周りも自分も振り回された。


僕はいつも”じゃあこれは食べなくていいよ”と言い続ける。
彼女は子供のころからの癖で相手が怒っているんじゃないかと少し気にしている節があるのだが、
彼女が変な味がするというのだから変な味がするのだろう。
誰だって腐ったものを食べたいとは思わないし、もしそれを強制されたら僕だって食べたくない。

ただし、毎年思って据え置いてしまうこの問題。
世の中にHSPはたくさんいるが味覚に対してしかも夏というある一定の期間、
いつも以上にここまで敏感になるHSPは他にもいるのだろうか。
これもいつかは腹を据えて彼女が向き合っていかなければいけないテーマの一つかもしれない。



”神経質”な夏の食事 (ちなみにこのキーマカレーにわずかに入れたほぼ溶けたナスが苦いらしかった。・・・でもナスってもともとちょっと苦くない・・・?ちがうの?)

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