彼女の話

海底の木箱

投稿日:2017年3月18日 更新日:

彼女の海底には木箱が沈んでいる。
木箱は古い鉄の錠がついていて、鎖が巻かれている。
これは彼女が以前に医者に言われて沈めたものだ。


木箱の様子はときどき変わる。
太陽の光が差し込んでゆらゆらと明るく見えることもあるし、
水草が周りにたくさん茂っているときもある。
船から石油が漏れ出したときのように、真っ黒になった水の中でその姿がやっと確認できるという時もある。

ときどき、木箱からロープが海上へと繋がっているときもあるが、
これは海上から降ろされたものか、木箱から浮かんでいった物かはわからない。


彼女は時折意識的にこの木箱の様子を確認する。
どんなとき、ということもないがただ見に行く。
ただある、ということを確認するだけで、そこには目立った情動は見られない。

-彼女の話

執筆者:

関連記事

noimage

彼女の買い物

彼女はなかなかの倹約家だ。 もったいない精神とムダ嫌いの魂をもつ。 彼女は普段かなり質素に暮らしている。 特に欲しいものもなく、ブランド物にもあまりステータスを感じない。 だから通常お金を使うことと言 …

noimage

プラグマティックシャッター

だから彼女はだれとも親しくならない。 少しよく話すようになった人がいても、どこかのある一線の手前で 意図的にまたは恣意的にまたは無意識に突き放す一言を発する。 そして相手は”こんな人だったのか”と思っ …

noimage

エビ反りする彼女

前回に引き続いて、次に訪ねたときは変わらず同じ背格好で彼女は横たわっていた。 もしやあの日僕が去ったあとからずっとそのまま一つの身動きもしなかったのではと 少し背筋が寒くなった。 確かに彼女は静かに横 …

彼女のカーテン

彼女のカーテン

彼女の部屋のカーテンは大体いつも閉じられている。   彼女の瞳の色は普通のひとより真っ黒だ。 髪の色も真っ黒だが、たぶん瞳はもっと黒い。 でも彼女は眩しく明るい場所が好きじゃない。 年を経て …

表面下の世界

表面下の世界

「表面の世界でも生きていける。 そしてそれはそんなに悪くない。」 自分は一体何を表現すればいいのだろう。 文字を綴れば、黒鉛を重ねれば、世界をつなげれば、 それらを続けて行けばどこかに直角が訪れるのだ …

表面下の世界

2019/01/16

表面下の世界

渇き

2019/01/07

渇き

秋晴れ

2018/11/24

秋晴れ

記事内の彼女の絵や写真。
2019年2月
« 1月    
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728  
にほんブログ村 メンタルヘルスブログ HSPへにほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へにほんブログ村 美術ブログへ