彼女の話

なんという赤!

投稿日:

無理して笑ってるでしょ


男は目の前にいたのだが、彼女は
こいつ後ろから私を見ている、と悟った。
私のななめ後ろにいて、仮面と顔の境目にできた影を見てる、と思った。


はっと気づいた時、男はさらに畳みかけるように言った。

少しは自分のことも話して、仲良くしないと浮くよ


そう言われた瞬間、恥ずかしさと怒りと罪悪感で身体中の体液という体液が一気に沸点まで達しそれらが目から噴き零れ始めほとばしって男の顔や肩に飛び散るのを見た気がした。


「   ・・・    ・   」

吐き出そうとした言葉は彼女の腫れた甲状腺でつっかかった。


なんて粗雑で乱暴なんだろう。こいつは自分が一体何を言っているのかわかっているのか。
彼女は怒りで我を忘れそうになった。

体液のほとんどは血となって視界を覆った。目の前は真っ赤だった。身体中のすべての血が眼球の周りに集まったおかげで脳はガス欠でプスプス声を上げていた。心臓も苦しい、いきができない。

逢魔が時のような、なんという赤!あつい目がすごくあつい!



そうやって燃えてしまった彼女はあの日の枯葉みたいになったのだ。




なんという赤!

-彼女の話

執筆者:

関連記事

ランドリー・ニューヨーク

ランドリー・ニューヨーク

彼女はこたつ布団をようやく剥がした。 寒がりの彼女にようやく春がやってきたというわけだ。 ある夜こたつ布団を持ってコインランドリーへ向かった。 車が使えないので、イケアの大きな青い袋に入れ自転車のカゴ …

たそがれ

たそがれ

彼女が一日の中で一番すきな時間はたそがれ時だ。 早朝の「キリっとパリッとした空気」も好きだが(彼女は早起きが苦手だし)、 その日一日あつく熱された世界を静かに穏やかに落ち着かせようとするあの時間には変 …

noimage

終わりどころ

彼女は点を描いているとき、一体どこで終わればいいのか毎回分からなくなる。 これでこの紙に打つ点は終わり、、、かなぁ?と。 ここにもそこにもまだ打とうと思えば打てるのだけど、あと一点だけ打ってもう手をつ …

スキン・ピッキング/Living

スキン・ピッキング/Living

彼女のスキン・ピッキングが始まったのは幼少期である。 彼女は保育園のお昼寝で使う布団の端から端まで血のドットを並べた。 血は皮をむしった彼女の唇からあふれ出たものだった。 こんなことをしたらおかしく思 …

noimage

(no title)

いつの頃からか眠りに落ちる間際に 時折ふぅっと決まったシーンが彼女のどこかをよぎるようになった。 それはこころかもしれないし、頭の中にかもしれない。 そこは真っ暗だ。 真っ暗な中に白い直方体がぼんわり …

秋晴れ

2018/11/24

秋晴れ

優しい時間

2018/10/19

優しい時間

noimage

2018/09/18

アンビバレンス3

記事内の彼女の絵や写真。
2018年12月
« 11月    
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  
にほんブログ村 メンタルヘルスブログ HSPへにほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へにほんブログ村 美術ブログへ