彼女の話

なんという赤!

投稿日:

無理して笑ってるでしょ


男は目の前にいたのだが、彼女は
こいつ後ろから私を見ている、と悟った。
私のななめ後ろにいて、仮面と顔の境目にできた影を見てる、と思った。


はっと気づいた時、男はさらに畳みかけるように言った。

少しは自分のことも話して、仲良くしないと浮くよ


そう言われた瞬間、恥ずかしさと怒りと罪悪感で身体中の体液という体液が一気に沸点まで達しそれらが目から噴き零れ始めほとばしって男の顔や肩に飛び散るのを見た気がした。


「   ・・・    ・   」

吐き出そうとした言葉は彼女の腫れた甲状腺でつっかかった。


なんて粗雑で乱暴なんだろう。こいつは自分が一体何を言っているのかわかっているのか。
彼女は怒りで我を忘れそうになった。

体液のほとんどは血となって視界を覆った。目の前は真っ赤だった。身体中のすべての血が眼球の周りに集まったおかげで脳はガス欠でプスプス声を上げていた。心臓も苦しい、いきができない。

逢魔が時のような、なんという赤!あつい目がすごくあつい!



そうやって燃えてしまった彼女はあの日の枯葉みたいになったのだ。




なんという赤!

-彼女の話

執筆者:

関連記事

noimage

どうにもならないやる気のなさ

彼女がどうにかなんとかできないものかと思っているのが この「どうにもならないやる気のなさ」である。 ときたま突然起こるようだが、一度この現象が起こってしまうと 彼女はもうその辺で転がっていることしかで …

noimage

静けさと感情でいっぱいの場所

彼女はときどき美術館に行く。 行ったことのない遠くの美術館へも気になる展示があれば出かけていく。 美術館は大抵街の真ん中にあったりして、 駅の改札を抜け、雑踏を抜け、美術館の入り口を抜けると突然ロビー …

noimage

1000の中の彼女

彼女は最近大変忙しい女性と会う機会があった。 この女性は母であり妻でありPTA役員であり地域の行事係でもあるような とてもとても忙しい人なのである。 彼女はこの人に決して複雑とは言えない かなり明快な …

noimage

彼女はまだ

彼女はまだ自分の気質についてよく知らない。 彼女はまだ自分の気質についてはじめて書かれた本を一度も読み終えていない。   これまでに3回読もうとしたが、果たさなかった。   1回目 …

恋判定

判定

その人について考えが止まらない間、他のことが完全に飛んでしまう。 そしてそれは彼女が彼女であるという自信を喪失させ、 自分が自分ではなく、誰かに乗っ取られてしまったかのような不安が押し寄せてくる。 そ …

優しい時間

2018/10/19

優しい時間

noimage

2018/09/18

アンビバレンス3

棚

2018/08/29

記事内の彼女の絵や写真。
2018年10月
« 9月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  
にほんブログ村 メンタルヘルスブログ HSPへにほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へにほんブログ村 美術ブログへ