彼女の話

ざわざわする

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彼女はざわざわすると言って落ち着かないことがある。
それは「心臓がいつもの場所から2cmほど重く浮かんだり沈んだりしている」感じだという。

動悸がする。
眉間にはずっと力が入ったままになる。
ときどき痙攣するように頭がびくっと持ち上がる。
何度も深く深呼吸する。
原因がその辺に落ちているのではないかと探すように不安げにキョロキョロする。
何もない。

心臓がキュイーンと機械音を立てながら雑巾のように絞られる。
何が自分から絞り取られ、滴り出ようとしているのか、
このざわつきが治まれば戻ってきてくれるのだろうか。


迷子になった小さな子みたいに、だんだん涙がにじんでくる。
だれも迎えには来ない。
迷子のアナウンスも流れない。
聞こえてくるのは自分のやや激しい呼吸音だけだ。



しばらくして僕は温かいジャスミンティーを差し出した。
彼女は何のつもりだとでも言うように怪訝な顔をしてカップの中を覗き込んでいた。


ざわざわする

-彼女の話

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