彼女の話

彼女とtwitter

投稿日:2016年12月1日 更新日:

彼女は僕が作ったこのブログ用のtwitterアカウントで少し向こうの大きな存在に近づいた。

大げさに思うかもしれないが、彼女にとってはあなたが初めて人前で歌うということと同じくらい緊張することなのだ。

(それは彼女がときどき”ふつう”のことができないからかもしれないが、彼女からすればカラオケで歌うことは”ふつう”ではない。)

重要なのはこれまでのウェブ利用と違って、情報を受け取り続けるのみではなく、

彼女自らがその一部に少しだけ”自分”を置いてみたいと能動的に動いた、ということだ。

 

自分が片足だけ突っ込んでいることを意識しながら、

しかし彼女は意外なほどすんなりと冷静にその大きな存在の一端を眺めた。

 

少し残念だったのは

沢木耕太郎やポール・シニャックやスピッツといった彼女の好きな人たちがあまりtwitterで見つけられなかったこと、

または、ある人はあまりtwitter活動していないようだったということ、

そしてまたある人は商業的になりすぎていたこと、だろうか。

 

不思議に気に入ったのはbotだった。

無機質に機械的に定期的にそして一方的に流れてくる言葉たち。

そうやって「まるで工場のレーンにゴトゴト乗って」自分の前に現れたことばが自分の胸を打つ、というおかしさ。

(矛盾とか、アンチテーゼとか、反証とか、相反とかいったことが彼女は大好きだ。

人間を人間たらしめ、一番人間くささを感じてあたたかい、からだ。

ただしbotはもちろん人間ではない。操っているのは人間だが。)

 

ここ数日で彼女は何人もの人たちのつぶやきを眺めて、その中の何人かをフォローした。

自分をオープンにすることにいつでも抵抗のある彼女が、

この人が私が好きになったひとです、とはじめて静かにラブソングをうたう練習をしたようなそんな数日になった。

-彼女の話

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