彼女の話

たそがれ

投稿日:2017年1月7日 更新日:

彼女が一日の中で一番すきな時間はたそがれ時だ。
早朝の「キリっとパリッとした空気」も好きだが(彼女は早起きが苦手だし)、
その日一日あつく熱された世界を静かに穏やかに落ち着かせようとするあの時間には変えられない。


「それは世の中のすべてをシルエットに変えていく。
物事の色が黒くなって消えて行くのに、空の色だけが鮮やかなグラデーションを映し出す。
さっきまでそこにあった物事の色のすべてを吸い取っていったかのように。

木の枝も電線も人もビルも、すべてが形を失ってぺらぺらの二次元になっていく。
その中に立つと溶け込んだように安心できるんだよ」


そしてそのたそがれ時はいつだって一瞬で、
いくらまだ少し明るいと思っていても、
気づいた時にはびっくりするほど真っ暗になっているのだ。



たそがれ

-彼女の話

執筆者:

関連記事

noimage

いちねんせいのかのじょ2

彼女はそもそも学校を思い出すのも苦手だ。 小学校も中学校も高校も大嫌いだった。 小学校に入学してから数ヶ月間、彼女は教室へ行けなかった。 いつもお腹を痛がって保健室で過ごしていた。 仮病だと言われたり …

今ここ

今ここ

彼女が引越しをした。 久しぶりに行ってみたら人がいない物件にかけられる例の水道局の袋がドアノブにひっかかっていた。 水滴に目とか鼻とか乗っけてある、よくあるあのイラストがゆらゆら風に揺さぶられていた。 …

忘れていく彼女

忘れていく彼女

彼女はあまり記憶力がよくない。 まるでわざとそうしているようかのように、これまでのことをどんどん忘れて行ってしまう。 彼女は特にそういったハンディキャップや疾患があるわけではない。 なのでつい最近のこ …

noimage

彼女と誰か

彼女は唐突に気づいてぎょっとした。 ちょっと待て。 だれかいる。 一体自分は誰なのか、どれが自分なのか、という問いに彼女ははからずもがんじがらめになっている。 ただ、少なくともその”自分”たちをある程 …

noimage

偏愛

彼女は好き嫌いが激しい。 嫌いなものは我慢ができないくらい嫌いだし、 好きなものはなんだかもうどうしようもないくらいに好きになってしまう。 とてもいい音楽を見つけてしまったときはそれから数か月は同じア …

秋晴れ

2018/11/24

秋晴れ

優しい時間

2018/10/19

優しい時間

noimage

2018/09/18

アンビバレンス3

記事内の彼女の絵や写真。
2018年12月
« 11月    
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  
にほんブログ村 メンタルヘルスブログ HSPへにほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へにほんブログ村 美術ブログへ