彼女の話

ある朝

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彼女はもう何年も飲まない日の方が少ない毎日だった。
飲みすぎることも時にはあったが、ほとんどは彼女の日々のささやかな楽しみであった。



ある朝彼女はいつものように目を醒まし、
いつものように布団から抜け出してカーテンを開けた。
やわらかな明るい日差しの朝だった。

半分ぼんやりとした意識で半分ほど残った白ワインのボトルが目に入った。
前の晩に飲んで、冷蔵庫に入れ忘れたものだった。


しばらく(、と思ったが実際はそう大して長い時間ではなかったかもしれない)
置き去りになったボトルを眺めたあと、彼女はそれを手に取って
固くしめられていたスクリューキャップを回し外した。

ふ・・・っ。


ボトルの中にこもっていた何かが音をたてたような気がした。


それから彼女は何の気なしに中身を排水溝に流し入れた。
昏い昏いどこまでも続きそうな黒い管の中に
こぷこぷこぷこぷ、と小気味よい音を鳴らしながらその金色の液体は姿を消していった。

そしていつも通り水をいれて中をそそぎ、乾燥させるためにひっくり返し立てかけた。

空になり逆さまになって傾いているボトルをまたしばらく見ていた。
まだ眠たいような気がした。



この日から彼女は全く酒を飲まなくなった。



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