彼女の話

『鑑定士と顔のない依頼人』

投稿日:2017年3月4日 更新日:

『鑑定士と顔のない依頼人』(The Best Offer、2013) ネタバレ注意





この間彼女は放心したような興奮したような様子で観た映画のエンディングについて話し出した。
とてもとても美しいラストシーンだったのだと。


『鑑定士と顔のない依頼人』など彼女は聞くからに憂鬱になりそうだと思ったが、
たくさんの絵が出てくると知ってDVDを借りてきた。

観ている途中、ところどころにたくさんの謎や伏線が張られているようだったが、
彼女は根が単純というか素直すぎるというか、
そういったところに気付いてもなんとなく気づかぬ振りをして、
そのままをそのままで観ていく。
だから最後の最後で主人公と同じショックを受けることになる。

(彼女は観ながら、自分は現実も映画も同じようにみているのだなとふと思う。
小さな違和感に気付いていても、それをいつも置き去りにして信じ込み、
そこから踏み込んでいこうとしない。)


とにかくこの映画の主人公である年老いた鑑定士は
最後は初めて信用し愛した人たちに『裏切られる』ことになるのだが、
「それだのに、それだけとは思得ない感情の静謐と穏やさがそこにあって、
これで良かったはずはないのに、
歯車の噛み合う音でいっぱいの奇妙なレストランにひとり座る老年の男の姿が
果てしなく美しくみえる」。
ハッピーエンドではなかったか、となぜか思ってしまうような。


この映画を観てからしばらく経つようだが
彼女は未だにぼんやりとこの映画について考えている。

-彼女の話

執筆者:

関連記事

noimage

くろくなる光

「白いキャンパスに光を描こうとするとくろくなる」 彼女は自分が塗り上げたその黒さに絶望する。 久しぶりに会った彼女はひどく痩せていた。 まるで地球上の重力すべて集めましたといった重さの鉄板によって き …

noimage

抗えないもの

彼女は自分の体の異変を認めざるを得なくなってきた。 頭痛に悩まされているのは以前からだが、それ以上におかしいのだと呟いた。 少し不安気だった。 朝目が覚めたとき、脳がとけてスライムになったようにドロリ …

noimage

彼女の買い物

彼女はなかなかの倹約家だ。 もったいない精神とムダ嫌いの魂をもつ。 彼女は普段かなり質素に暮らしている。 特に欲しいものもなく、ブランド物にもあまりステータスを感じない。 だから通常お金を使うことと言 …

noimage

おでこのこり

最近とても気になっていることがある。 それは彼女のおでこのコリだ。 彼女は考えているときや本を読んでいるとき、人ごみにもまれたときなど いつの間にか眉間に力が入ってしまう。 しわができない代わりにずっ …

noimage

彼女と陰口

職場というのは時に陰口の宝庫となりうる。 彼女の職場も残念ながら例外ではない。 彼女は陰口というのは色んな人の分かりやすい価値観の集まりであるな、とつくづく思う。 「それは本当におもしろくて、いいかげ …

記事内の彼女の絵や写真。
2019年12月
« 10月    
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031  
This error message is only visible to WordPress admins

Error: No connected account.

Please go to the Instagram Feed settings page to connect an account.

にほんブログ村 メンタルヘルスブログ HSPへにほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へにほんブログ村 美術ブログへ