彼女の話

空腹の彼女

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彼女の体は燃費が悪い。
普段から少ししか食べない。
その分しか胃のキャパがないのか、食べるとすぐにお腹がいっぱいになってしまう。
もしくは食べた、という事実で満腹になったような気になって食事は終わる。
もちろん実際には大した量は食べていないので、すぐにお腹がすく。
なので、可能であれば一日5食とか6食とか少しずつ何回も食べてれば人並みのエネルギーが摂れるかもしれない。
しかしそんなことは仕事に出てしまえばできっこない。
せいぜいお菓子をつまむくらいかもしれないが、彼女は落ち着かない場所で物を食べるのが好きじゃない。
なにか差し入れをもらっても、そこで食べることなく持ち帰る。

そんなわけで彼女の腹はしょっちゅうグウグウなっている。
彼女はそれで自分はしっかりお腹が空く健康な人間だと満足している。
最近は腹が鳴ると美容だかアンチエイジングになるだか言ってドヤ顔して見せることさえある。
それは別に否定しないが、しっかり食べて鳴らせと僕は言いたい。

しかし空腹の彼女というのはあまり良くない。
彼女はお腹が空いた、と気付くまでが遅い。
「ああ、なんだか少しお腹が空いたな」ということがない。
さっきまで元気だったのに、次に覗いたときにはもう顔が死んでいるのである。

不機嫌になる、ということはないのだが、もう全く元気がなくなってしまう。
「お腹が空いた・・・」と呟いたきりまったく話さなくなる。
そして眠気に襲われる。
こういうときすぐに食べるものがあれば彼女も口にするのだが、
なければそのまま眠ってしまうので、また腹に何か入れるのが延期されてしまうのだ。

原因はいろいろあるが、甲状腺に軽い病気をもっているのでそのせいでもともと血糖値も低い。
子供の頃は自分で空腹の管理が今以上にできなかったために、時々血糖値の急低下でぶっ倒れていた。


最近は個包装になっている食品を持ち歩いたりしているが、アラームでも設定しておかないと食べるのを忘れてしまう。
このなぜ空腹にギリギリになるまで気づかないのか、彼女は自分でもどうも分からないという。


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