彼女の話

ふきとぜんまい

投稿日:2017年4月19日 更新日:

彼女は先日見知らぬ人からふきとぜんまいの煮びたしをもらった。
見知らぬ人と言っても、道で会った人ではなくて、
知り合いを通して知り合いの知り合いからもらったのだ。
(なんだか余計分かりにくいが。)


(ちなみに彼女は普段他人の手作りというのはよほど親しい人でない限り食べたがらない。
すみません。)
彼女は買ってくる味にも自分の味にも飽き飽きしていたところだったので、
知らない誰かの味というものに「お」と新鮮な気持ちになった。


スーパーの惣菜のパックに4種類。

しいたけ
ふき
ぜんまいの紫蘇和え(?)
ぜんまいと卵の和え物


「おお」

季節の野菜。
全体的に茶色いビジュアルだったが、季節の野菜はピカピカしてみえた。

味付けは彼女には濃かった。
でもそれ以上に季節の野菜たちの風味が主張してきた。
彼女は「むーーーーーーーーふっっ」と鼻息をふいた。
ふきの香りが鼻から抜けていったようだった。

しいたけはもはや茶色く煮詰められたイカかと思われるほどつるつるしていた。
噛むとじゅわわわんと出汁が染み出てきた。

ぜんまいは2種類入っていて、卵和えより紫蘇和えみたいなものが彼女は大変気に入った。
実際紫蘇和えかは分からなかったが、ほんわり紫蘇みたいな梅干しみたいな味がしたのだ。
味が一番薄くて、ぜんまい!らしい一番春を感じた。


彼女は「冷めてもおいしいなぁ」とかみしめた。
「あたたかいなぁ」とも思った。

これを分けてくれた知り合いが言うには
作ってくれた人はその地域のみんなのお母さん的な存在の人で、
時折こうやって何物か作っては周りの人たちに分けているそうなのである。


「春だなぁ
あたたかいなぁ」

もったいなくて彼女は半分次の日のためにわざと残した。

-彼女の話

執筆者:

関連記事

noimage

彼女と税金

彼女は別に貧乏ではないがお金持ちでもない。 大体は根っからの倹約家であるため、ムダにお金を使うこともないが、 かといってその時に必要だと思えば大枚をはたくこともあまりいとわない。 この間のように2か月 …

noimage

・線アフォーダンス

腱鞘炎が未だ治まらず点をあまり打たなくなった彼女は以前より線を多く引くようになった。 線を描いているときの彼女はすごく伸び伸びしているように見える。 なんというかもう少し大きなスケッチブックに描いたら …

noimage

なぜ口でキスするのか

  どうしてキスは口でするのか。 いつからヒトは唇でキスするようになったのだろうか。   まつ毛とか鼻とかでキスみたいなことをする人たちも世界にはいるが、 彼女は映画なんかで唇でち …

たそがれ

たそがれ

彼女が一日の中で一番すきな時間はたそがれ時だ。 早朝の「キリっとパリッとした空気」も好きだが(彼女は早起きが苦手だし)、 その日一日あつく熱された世界を静かに穏やかに落ち着かせようとするあの時間には変 …

noimage

咬みしめる彼女

先日歯医者に行って撮られた自分の歯を見た彼女は仰天した。 歯にヒビが入っていたのである。それも1本ではない。 彼女には咬みしめる癖がある。 歯医者によると、咬みしめの力は自分の体重ほどもある。 そのエ …

記事内の彼女の絵や写真。
2019年9月
« 8月    
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30  
にほんブログ村 メンタルヘルスブログ HSPへにほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へにほんブログ村 美術ブログへ