彼女の話

プラグマティックシャッター

投稿日:2017年2月6日 更新日:

だから彼女はだれとも親しくならない。

少しよく話すようになった人がいても、どこかのある一線の手前で
意図的にまたは恣意的にまたは無意識に突き放す一言を発する。
そして相手は”こんな人だったのか”と思って去っていく。
時には寂しさを、怒りを、失望を露わにして、その人たちは彼女に背を向ける。
彼女はほっとする。


そして罪悪感をもつ。
自分が少し油断してしまったばっかりに相手に期待させ、そのくせ怖くなってとたんにシャッターを下ろしてしまうことに。
「ああ、最初からあんなに親しげにするのではなかった」
「次は気をつけよう、もう誰ともあんな風には接しないようにしよう」
「自分も面倒、相手も傷つく。いいことは一つも残らない」


でも実際は彼女はこれを繰り返している。
ときどき彼女に踏み込んで来ようとする人たちは大抵「いい人」だったりする。
だから彼女の仮面は「油断して」外れかけ、突如相手が自分の目の前に迫っている現実と”自分の現実”のはざまで慌ててしかしハッキリと音を立ててシャッターを引き下ろす。

なぜ繰り返すのか。
それは仮面と同じでこのシャッターも彼女にとってよくも悪くも必要でかなり実用的であるからなのだ。

-彼女の話

執筆者:

関連記事

noimage

友人N

彼女を語るうえで絶対に外すことができない存在が彼女の友人Nである。 Nなくして今の彼女はいないのである。 Nは「一番親しく古い友人であり、姉であり妹であり、遠くにいても近いひと」である。 Nは彼女の人 …

数字と中学生と彼女

数字と中学生と彼女

彼女は数字が大嫌いだ。 彼女は最近期末テストを間近に控えた中学生と話すことがあった。 この中学生の直近の問題は試験初日の数学だそうで彼女は気の毒で仕方がなかった。 聞けばこの子はもう数学教師がもはや日 …

noimage

カラフル

彼女は白と黒の世界しか描かない。 写真に関しては自分で色を選ぶわけではないので今はあまり抵抗はないようだが、 昔は写真もモノクロばかり撮っていた。 そうやっていつの間にか白と黒の世界に入り込んでいたの …

noimage

”HSPは恋に落ちやすい” この”恋”は本当に恋だろうか。 彼女が恋をしているかもしれない。 しかもガチでリアルかもしれない。 もしそうなら、かなりしばらくぶりだ。 彼女の恋愛 …

noimage

3月11日-ある春の日

彼女はしみだすのを眺めているのが好きである。 紅茶や緑茶の葉っぱや、フレーバーティのパックから 無色透明のばっとした熱さの水の中に 無秩序に延々としみだす色素を見ているのが好きなのである。 それは、そ …

記事内の彼女の絵や写真。
2019年5月
« 1月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
にほんブログ村 メンタルヘルスブログ HSPへにほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へにほんブログ村 美術ブログへ