彼女の話

彼女の秘密

投稿日:

彼女はついに絵も描かなくなってしまった。
動悸もするし、ひどく憂鬱そうにしている。
呼吸がしにくいせいで酸素が脳や体内に行きわたっていないのか、
四六時中眠気と闘っている。

だからといって横になってもきちんと眠ることはできないようで
ずっと頭は何事か考えているのが眠っていても分かるそうだ。
眠りたい、と彼女は言う。


思考のループにまた深くはまり込んでしまったようだ。
それは時には答えの出ない、そもそも答えなどないことであったり、
時には彼女自身がしっかりと向き合えば、答えがでたり決断できたりすることもある。

今回はどちらだろう。


彼女は秘密主義だ。
意図せずそうなってしまうのだが、
職場ではプライベートが謎の人間になってしまっている。
何かあっても親しい友人にも話さずにいることも多く、
後に聞いて「どうしてもっと早く話さないのか」と怒られたりしている。

今回彼女が何について考えているのか知らないが、
今回も彼女は誰に話すことも相談することもないだろう。
憂鬱であることも動悸がすることも本当は苦しいことも
誰にも言わないだろう。


僕はもう少し待とうと思う。

-彼女の話

執筆者:

関連記事

noimage

泥の中に手を

彼女はある夏の日のことを後悔している。 その時彼女はひとりで7時間行程の山登りをした。 山登りといっても山登りとハイキングの間みたいなものだった。 彼女はときどきこうやってひとりで人のいないところへ行 …

noimage

終わりどころ

彼女は点を描いているとき、一体どこで終わればいいのか毎回分からなくなる。 これでこの紙に打つ点は終わり、、、かなぁ?と。 ここにもそこにもまだ打とうと思えば打てるのだけど、あと一点だけ打ってもう手をつ …

3月9日

3月9日

今日は3月9日だ。 3月9日と言えばレミオロメンだ。 最近では卒業ソングの定番らしい。 彼女は卒業式に特になんの思い入れも思い出もないが、 高校の卒業式だけは死ぬほどうれしかったのを覚えている。 10 …

noimage

沿線生活2

沿線生活はいつまでたってもうるさいことに変わりはなかったが、 しばらく住んでいるうちに彼女はいろいろな線路沿いの風景をみた。 撮り鉄と呼ばれる人々を見たのもここでだった。 そばの踏切や彼女のアパートの …

だれかのことを思うとき

だれかのことを思うとき

今朝彼女の家には佐川急便やら郵便やらが入れ替わりたち替わりやってきて 大中小の箱をそれぞれ置いていった。 12月25日の朝、誰かから彼女へのクリスマスプレゼントだ。 彼女はみんなきちんとパーフェクトな …

記事内の彼女の絵や写真。
2019年8月
« 7月    
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  
にほんブログ村 メンタルヘルスブログ HSPへにほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へにほんブログ村 美術ブログへ