彼女の話

共鳴する彼女

投稿日:2017年1月29日 更新日:

彼女は知らない人と話すが苦手だ。
それにも関わらず見知らぬ人に話しかけられやすい。

たとえば職場に新しい人が入ってきたとき、
彼女はできるだけ自分の存在を薄く薄く振る舞い、必要に応じて
あの「どうか話しかけないでください」オーラを醸しても。

たとえば街中にたまに出てみてバスを待っているとき。
群集のなかで無意識に無防備になってしまったりして。


突然彼女は知らない人に話しかけられるのである。
老若男女、日本人、外国人、問わず。


彼女は自分では自分は知らない人と話す人間ではない、と思っているので、
基本的にそんなことは想定していないのだが、だから余計にびっくりする。


彼女がどんなに話しかけられたくないと思っていても、
たとえば職場で新人が慣れてきたころ、”一番話かけやすかった”などと言われるのである。
彼女からすると、良かれ悪かれ、「心外」なのだ。

これまでのそんな人たちの話を総合してみると、
どうも彼女の”見かけ”がそうさせているようなのだが、
彼女自身は自分の見かけなどはかえようがないし、
よく考える癖のせいでしかめっ面になっていることも多いので、
「そんな人に道を訊いたり、写真を頼んだり、よくするものだ」と不思議がっている。


でも僕は知ってる。
彼女は実はとても気にしている。
まるで自分のことのように気にしている。
職場に新しい人がやってきたとき、
「はじめての場所、初めての人、初めての人たち。あぁ、疲れるだろうな、大変だろうな」と思っていること。
バス停で一緒に立つ隣の外国人に
「この人、韓国の人だな。地図見るだけで乗るバス分かるのかな、どこ行くのかな」と思っていること。


彼女は知ってか知らずか、いつの間にか困った彼らと共鳴しているのかもしれない。

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