彼女の話

背徳感と新しい彼女

投稿日:2017年3月17日 更新日:

世の中にはやってはいけないことがある。
倫理とか道徳とか約束とかルールとか法律とか友情とか
そういうものに背くようなことはやってはいけないのだ。

やってはいけないことは、やってはいけない。
約束は守らなきゃいけないし、法律も守らなきゃいけない、
友情を裏切るようなこともしないほうがいい。
こうやって書いてみると確かに
「この社会は実に様々な正しそうなものの鎖でがんじがらめになっている」


彼女はこういった
「しなければならないこと」や「やってはいけないこと」なんかのいわゆる「こうすべき」を
何よりも重んじてきた人だった。
彼女にはその自覚があったし、そしてそれでいいと信じてきた。


それが最近ひずみ始めた。
再び絵を描き始めてからというもの、
いや、正確には以前とは明らかに違う絵を描き始めてから、かもしれない。
「この社会は実に様々な正しそうなものの鎖でがんじがらめになっている」
なんて言い出した。


彼女は最近相手のいる人と寝た。
僕は仰天した。
幸い婚約も結婚もしていない人のようだが、これは明らかな
ルール違反、マナー違反、もっと言えば友情にまで背を向けたかもしれない。
以前の彼女なら「そんなことをする奴はクソだ」と言っていただろう。


僕は心の底から驚きながら彼女を眺めた。
彼女は意外なほど冷静で、少し安堵したような雰囲気さえあった。

「背徳感も罪悪感もある。
でもそれ以上に、満足感がある。
いろんな意味で」


倫理とか道徳とか約束とかルールとか法律とか友情とかは
正確には「正しそうなもの」ではなくてたぶん実際多くの場面で正しいのだ。
でも彼女はそれらと自分を同じラインに並べる、という選択肢に気付いた。

人の彼氏と寝てはいけない。
でも彼女はその時そうしたかったのだ。
そうしないことはその時の自分に背くことではなかったか。
それはルールや倫理と何がどれくらい違うのだろう。


はっきり言って、一般的にみて今回の件は少し逸脱したかもしれない。
しかしこれは彼女自身にとっては大きな逸脱となったように思えてならない。
彼女は他の人より多くの、そして太い鎖で締め付けられてきた分、
一つ外れるとバラバラバラバラと急速に緩みつつある。
難しいがそれはそれで彼女が解放される手段の一つかもしれない。

そんなことを言っていたら真面目に生きている方がバカみたいじゃないかと言われるだろう。
それはそうだ。
でも彼女は何度か大きく踏み外す必要があるように思う。
人よりもレールの上を1㎜違わず歩いてきた分まとめて大きく間違う。
しっぺ返しもその分大きいかもしれないが、
他の多くの人がそうしてきたように、その度に修正していくしかない。
守るべきものと自分自身とになんとか折り合いをつけながら。






この投稿を読んで少なからず不快な思いをされた方がいらっしゃるかもしれません。
どうかこれはあくまでも彼女の心の解放の話であり、
浮気や不倫を肯定するものでは決してないことをご理解ください。



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