HSPとその他の話 彼女の話

彼の生まれてきた意味

投稿日:2017年6月4日 更新日:

彼の話には続きがある。
いや、続きというよりもプロローグというべきか。


別にHSPじゃなくたって、
僕らもふと「一体自分は何のために生まれてきたのか」と漠然と思う時はある。
ぜんそくで死んだ彼は生きている間、どんなことを考えていたのだろうか。


彼は5人兄弟の次男坊だった。
兄弟はそれぞれがかなり不仲だったというが、
彼がまともに生活し始めてしばらくした頃、
5人兄弟が約20年ぶりに一堂に会する機会があった。
そしてその時彼らは驚くほどに仲良く会話や酒を交わしたそうだ。

彼が亡くなったのはその少し後だった。
残された兄弟たちは、根拠はないが5人を仲良く再会させてくれたのは
この次男坊の彼だったのではないかと感じたという。


これは彼女の勝手な想像だが
(こんなことを言ったら亡くなった人にすごく失礼かもしれないけれど)
生きていた頃、ハチャメチャやっていた彼は
『一体俺は何をやってんだろうな』とか
『なんで生きてんだろうな』とか思ったことがあったんじゃないか。
彼じゃなくたって誰にだってあるんだから。


HSPはよく答えの出ないことを考えて続けている。
人とは、とか
社会とは、とか
生きる意味、とか
存在意義、とか
感情レギュレーターについて、とか。

それから自分が生まれた理由、とか、


彼女は今回の話を聞いて、生まれる理由ってあるのかもしれないな、と思った。
使命とまで言わずとも、少なくとも全く何の意味もございません、
というわけでもなさそうだ、と思った。


彼女は、亡くなった瞬間彼はそのことを知ることができただろうか、と考えている。
そうだったらいいなと願っている。
どうしようもないことも全てが空しくなった時があったかもしれなくても
それがどこかにかつながっているかもしれないことを、彼が思ったならいい。
そしてその残り火がまったく見ず知らずの彼女に希望を与えたということも。



彼の生まれた意味

-HSPとその他の話, 彼女の話

執筆者:

関連記事

渇き

渇き

また新しい年が明けた。 平成が終わる。 平成最後の。 時代が変わる。 あらゆるメディアがうるさいほどに謳う。 彼女にはなんの関係もないことだ。 その日彼女は脱水症状でぶっ倒れていた。 年が明けたばかり …

noimage

(確固)

彼女は自分がどうしてこんなにもゆらゆらしているのかずっと気になっていた。 最近『民衆の敵』というドラマをみてそれがなんなのか少し分かった気がした。 彼女には確固がないのである。 『民衆の敵』には様々な …

noimage

「嘘ってなんだろう」 彼女は嘘についてよく考える。 昔彼女は嘘は2種類あると思っていた。 黒い嘘と白い嘘ってやつだ。 「大人」になって、もう一つそのどちらにも分類できない 自分を守るための嘘があること …

noimage

紙と食器と重力と

自分は疲れてばかりだな、とある時彼女は思った。 真夜中にふと目を覚ました時、うっすらと瞳を開けてゆらゆらと瞳を浮遊させながら思った。 「やることは山ほどあるのに、ただの一つも済んでいかない」 部屋の中 …

彼女の世界の胚胎

彼女の世界の胚胎

彼女は自分のそんな世界に気付いてから、少しずつ幸せになれるような気がしている。 「これだから自分は自分の人生を認められない」と思っていた頃に比べれば 今は食事を作った時にいつまでもキッチンに残る生姜の …

記事内の彼女の絵や写真。
2019年5月
« 1月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
にほんブログ村 メンタルヘルスブログ HSPへにほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へにほんブログ村 美術ブログへ