彼女の話

偏愛

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彼女は好き嫌いが激しい。
嫌いなものは我慢ができないくらい嫌いだし、
好きなものはなんだかもうどうしようもないくらいに好きになってしまう。

とてもいい音楽を見つけてしまったときはそれから数か月は同じアーティストの曲ばかり
家でも外でも延々聴いてしまうし、
例の腕時計のように気に入ったものはいつでも自分のそばにおいて何年も何年も使い続けたりする。
気に入っている映画やドラマも繰り返し繰り返し観てしまい、
もし彼女と一緒に生活するようなことがあったら同じシーンのリフレインにきっと辟易するに違いない。

彼女も自分のこの偏愛傾向が不思議で、もっと他にも好きになれるものはあるに決まっているのだから
もっと色々観たりきいたりするようにはしているのだが、
ふっと手をとってしまうのはいつものものだったりするのだ。


そして気づいたのだが、もしかしたらこの偏愛が”誰か”に向くときが
みんなの言う恋だったり愛だったりするのだろうかとはっとした。

今までその感覚は想像の域を越えなかったが、
もしそういうことならばその関係は少し理解できるかもしれないな。
でもどんなに大事に大事にしていても壊れるし、稀に飽きたりすることもあるんだよな、
それが感情をもつ存在になると、やっぱり考えるだけで疲れてしまうなと
また空しいところへ辿り着いてしまった自分の思考と感情を彼女はとても残念に思った。



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