彼女の話

彼女と飲み会

投稿日:

昨夜は彼女の職場の飲み会があった。

 

彼女はいつだってできるだけ早く自分の城に帰りたいと思っているし、

何より人と長い時間接しているのが苦手だ。

彼女は飲み会が好きじゃない。

しかも一日中職場の四角い空間に押し込められ、強制的に人と接せられ(だって仕事だから)

内心あっぷあっぷしていた後なのだ。

もう帰りたいのだ。

 

ある時から彼女はできうる限り断ることにした。

嫌なことはやらないことにしたのだが、

以前まさか歓送迎会まで断った時は大変な勇気が要ったことだろう。

(さすがに僕はこの時、今後彼女が仕事がしにくくなる状況になるのではと心配した。

職場において歓送迎会は普通の飲み会とはちょっと違う。)

それでもその時の彼女はそれは絶対に「行けない」と怖がった。

社会人失格と思われようと、変人扱いされようと。

 

少人数であればまだ行けるときもあるが、

どんな飲み会であってもその後彼女は必ず泣く。

もう何が何だかわからないものが溢れ出して帰り道からしくしく泣きだしてしまう。

それはその長い一日に自分が周りから吸収したイメージとか音とか考えとか感情とか彼女のすぐそばで彼女を刺激して通り過ぎていったすべてのものをもう抱えきれずにこぼれ落としてしまうという感じだ。

 

これは何もそんな飲み会の夜だけのことではない。

人の多い場所に行ったあとや自分がとても楽しんだ、と思えた日にさえ起こりうる。

 

彼女はできるだけ日々を自分の小さな城で静かにすごすことで

なんとかバランスをとろうとしている。

いつもそうできればいいのだが、今のところはそうしている。

それはいつか変えられるかもしれないし、変わるかもしれない。

-彼女の話

執筆者:

関連記事

noimage

彼女を掴んで離さない幸せなもの

冬の寒い日のこたつほど彼女を掴んで離さないものはないし、 これほど彼女に幸せをもたらすものもなかなかない。 こたつにかかる電気代は機種にもよるが1日つけっぱなしにしていても 「50円くらいで済む」らし …

noimage

飲み込んだ空気の行きついた先は

その先は呑気症だった。 最近急に涼しくなって人々が生き生きしている。 ある朝彼女は目を覚まし起き上がってテラスのドアを開けた。 瞬間ぶわぁっとあの懐かしいひんやりと乾いた空気が彼女を一気に包み込んだ。 …

デジャヴ

デジャヴ

彼女のデジャヴはすべて「確かに夢でみたもの」だそうで 彼女はそれがいつ頃みた夢であったかも憶えている。 デジャヴとなった夢の中では感情はなく「何を考えても思っても感じてもいない」。 さらには「どうして …

noimage

そこにこころが

彼女は手紙とかLINEとかメールが苦手だ。 そこに心があるかもと思うと開くのがいつも億劫になる。 彼女は時節のあいさつを大切に思っている人で、 そういう時期になればハガキをだす。 でもお別れの手紙とか …

noimage

サンタマリア号

(※映画『トゥルーマンショー(The Truman Show/1998)』よりネタバレ注意) 自分が一体どこから来て、何者になっていき、どこへ行くのか。 到底答えが出そうもないこのテーマについていつの …

優しい時間

2018/10/19

優しい時間

noimage

2018/09/18

アンビバレンス3

棚

2018/08/29

記事内の彼女の絵や写真。
2018年10月
« 9月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  
にほんブログ村 メンタルヘルスブログ HSPへにほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へにほんブログ村 美術ブログへ