彼女の話

彼女と飲み会

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昨夜は彼女の職場の飲み会があった。

 

彼女はいつだってできるだけ早く自分の城に帰りたいと思っているし、

何より人と長い時間接しているのが苦手だ。

彼女は飲み会が好きじゃない。

しかも一日中職場の四角い空間に押し込められ、強制的に人と接せられ(だって仕事だから)

内心あっぷあっぷしていた後なのだ。

もう帰りたいのだ。

 

ある時から彼女はできうる限り断ることにした。

嫌なことはやらないことにしたのだが、

以前まさか歓送迎会まで断った時は大変な勇気が要ったことだろう。

(さすがに僕はこの時、今後彼女が仕事がしにくくなる状況になるのではと心配した。

職場において歓送迎会は普通の飲み会とはちょっと違う。)

それでもその時の彼女はそれは絶対に「行けない」と怖がった。

社会人失格と思われようと、変人扱いされようと。

 

少人数であればまだ行けるときもあるが、

どんな飲み会であってもその後彼女は必ず泣く。

もう何が何だかわからないものが溢れ出して帰り道からしくしく泣きだしてしまう。

それはその長い一日に自分が周りから吸収したイメージとか音とか考えとか感情とか彼女のすぐそばで彼女を刺激して通り過ぎていったすべてのものをもう抱えきれずにこぼれ落としてしまうという感じだ。

 

これは何もそんな飲み会の夜だけのことではない。

人の多い場所に行ったあとや自分がとても楽しんだ、と思えた日にさえ起こりうる。

 

彼女はできるだけ日々を自分の小さな城で静かにすごすことで

なんとかバランスをとろうとしている。

いつもそうできればいいのだが、今のところはそうしている。

それはいつか変えられるかもしれないし、変わるかもしれない。

-彼女の話

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