彼女の話

彼女の正月

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休みの前の彼女は完全に引きこもれるだけの食料と本とレンタルDVDなどを調達する。
ただし今回の連休はそれに加えて、きちんと年末の大掃除を済ませ、
年越しと新年の準備も欠かさなかった。

ひとりで新年を迎えるとき、昔は彼女もあまり頓着せず、
いつもと同じように過ごしていたのだが、
ある年におせちのおすそ分けを頂いてから、おせちというのはこうも良いものか、と感動して
新年の準備をきちんとすることにした。


(年越しそばはいまだに緑のたぬきから卒業できないが、)
コタツの上には単身用の小さなおせちを真ん中に設置し、
(日本酒は飲めないので)冷やした白ワインをグラスにそそぎ、
元旦の朝に白だしをいれて作った雑煮をよそって、
いくつかのみかんを積み上げ、小さな鏡餅をその横に置いた。

彼女はそれをみて満足そうににんまりと口角を上げておせちに手をつけ
ひとつひとつの料理の由来や意味を確かめながら幸せを飲み込むように食べた。

そして満腹になってひっくり返り
「今年も良いことしかないな!」と頷いた。


-彼女の話

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