彼女の話

友人N

投稿日:2017年1月23日 更新日:

彼女を語るうえで絶対に外すことができない存在が彼女の友人Nである。
Nなくして今の彼女はいないのである。


Nは「一番親しく古い友人であり、姉であり妹であり、遠くにいても近いひと」である。
Nは彼女の人生の半分以上を知っている。
その間いつもいつもそばで彼女を見ていた、というわけではないが、
彼女の人生の転換期や分岐点においてNが彼女を支えてきたことは間違いない。

彼女はたとえ自分が殺人を犯したとしても、世界でNだけは面会に来てくれるだろうと思っている。
僕もそう思う。

彼女がどうしてそこまでNに絶対的な信頼を置けるかというと、それはNの一貫性にあるかもしれない。
環境や人や生活など彼女が意図しようとしまいと、目まぐるしく変化してきた彼女のこれまでにおいて
唯一絶対に変わらなかった存在がNであるからだ。


ふたりは子供の頃に出会っているから、Nだってそれから成長し変化したものは当然ある。
しかしNのNたらしめる部分だけは子供の時分から揺らいでいないのだ、と彼女は言う。


これまで彼女にどんなことが起ころうと、彼女がどれだけ崩れていこうと、
Nはどこかで”彼女は大丈夫だ”と信じていた。
そしてそれを彼女がぼんやりとした心で漠然と受け取っていた。
「自分を信じてくれているたったひとりがNだった」
それは何かあるごとに強化されていった。

彼女は今までも色んな意味でNがいなければ生きてこれなかったかもしれない。
前述したような支えの意味でも、城の保証人など社会的な意味でも。


彼女は最近自分の世界にとても感謝し、大切にし、それが自分を紛れもなく支えてくれているということが奇跡のように思える。
今このタイミングで新しい世界が開けつつあるのはなぜだろう、どうして突然こんな出会いがあったのだろうと考えていたが、彼女は最近なんとなくその理由が分かった気がする。

それはこれまで意識しようともしまいとも自分の一部であったようなN。
そのNが近々結婚するかもしれないからだ。


今この彼女に自信を与えてくれる新たな世界に出会うまで、Nは長いこと彼女の船となってくれていた。
逆に言えばこの世界がなければ彼女はNという船からぐるりんと今度こそ海へ落ちてしまうところだったかもしれない。
世の中はなるようになっている、と思ってしまいそうだ。


「NはこれからもNだ。それは変わらない。」
「こんな時でも自分のことばかりで悪いけど、今余裕でお祝いできる自分がいて良かった。見捨てないでとすがらない自分を作ってくれたのもNだった。それがとてもとてもとてもうれしくてありがたい」





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