彼女の話

怒った顔

投稿日:

彼女にはおかしなクセがあって
男を見るといつもその人が怒った顔を想像してしまう。
相手がとても親切な人で、どんなににこやかに話していても
彼女はふうっと
「この人は怒ったらどんな顔になるんだろう」とその笑顔を見ながら想像しているのだ。

その中でも怒った顔が想像できない人というのが時々いる。
僕も普段「こいつあんま怒ったりしないんだろうな」とつい思ってしまうような
温厚な男がいるが、そんな男たちのことかもしれない。
彼女はそういう男たちほど余計に警戒心や懐疑心が高まってしまうようだ。


だからといって想像してどうなるというわけでもない。
さすがの彼女もただその日その時少し目の前にいただけの男たちすべてに
それ以上色々思いをはせることはないし、彼らに何かを決めつけるわけでもない。

その男の怒った顔を想像する。
これは自動的に行われてしまう、ごくごく瞬間的な彼女の癖だ。

僕も今こうして書きながら、だからなんだっけと手が止まってしまった。
ただこの癖はあまりにも刹那的に行われている為、
彼女自身もつい最近自分のこの妙な癖に気付いたらしく少し戸惑っている。
だから今のところこれ以上何も情報はないのだ。


一体どれくらいの範囲の男にそうなってしまうのか、
(例えば職場でよく話をする人なのか、またはコンビニのレジのおにーさんたちにもなのか)
想像しやすい人はどんな人か、想像できないのはどんな人か、
想像したときどんな気持ちになるのか、それを言葉にできるか
などなど・・・

僕は少し気になってはいるので、
彼女がこんなことを検証できたら聞きたいなと思ったのだが
彼女から話してこない限りはやっぱりやめておくことにしようと思う。

-彼女の話

執筆者:

関連記事

ヘドロの中で

ヘドロの中で

「ヘドロの中で生殺しにされている気分だ」 僕はこの日、点滴にするか牛乳プリンにするかで悩んでいた。 点滴は今の彼女を直接的に物理的に助けることを明らかだった。 ただし僕の記憶では彼女は牛乳プリンが実は …

noimage

彼女を包む音

引越しをして彼女は色んな音に耳を傾けるようになった。 近くに川や木々が多くあることで、鳥が多い。 色んなさえずりが聞こえてくる。 時々は雨どいをトントン跳ねながらぴーちく言っている。 その足音はなんと …

noimage

忘れていく彼女 -感情

前回と前々回のつづき 彼女にはときどき顔を合わせるおばあさんがいる。 顔を合わせても話すときもあるし、話さないときもある、 それくらいほんの少しの時間一緒にいるおばあさんだ。 そんなおばあさんが小学生 …

noimage

紙と食器と重力と

自分は疲れてばかりだな、とある時彼女は思った。 真夜中にふと目を覚ました時、うっすらと瞳を開けてゆらゆらと瞳を浮遊させながら思った。 「やることは山ほどあるのに、ただの一つも済んでいかない」 部屋の中 …

noimage

ある朝

彼女はもう何年も飲まない日の方が少ない毎日だった。 飲みすぎることも時にはあったが、ほとんどは彼女の日々のささやかな楽しみであった。 ある朝彼女はいつものように目を醒まし、 いつものように布団から抜け …

優しい時間

2018/10/19

優しい時間

noimage

2018/09/18

アンビバレンス3

棚

2018/08/29

記事内の彼女の絵や写真。
2018年11月
« 10月    
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  
にほんブログ村 メンタルヘルスブログ HSPへにほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へにほんブログ村 美術ブログへ