彼女の話

もの・もの・もの・

投稿日:2017年1月8日 更新日:

彼女はなるべくものを持ちたくないと思っている。
それにも関わらず、昨年末の大掃除で彼女は自分の持っているものの多さに仰天した。
「いつの間にこんなに増殖したのか」

彼女は数年の外国での暮らしから帰国したとき、
大きめのスーツケースと小さなスーツケース1つ、
そして中くらいの段ボール2個のほかは何も持っていなかった。
銀行口座に少しあるお金のほかはそれが彼女の全財産だった。
そんなわけで入居した時の城にはそれらがぽつん、とあるだけだったのである。


しかし彼女はミニマリストになりたいと思っているわけではないので、
彼女も生活するのなら冷蔵庫とか洗濯機とかテーブルとかはないと不便だ。
彼女は頭の中でそれらに「承認済」を貼り付けた。
テレビ、靴箱、姿見・・・
彼女は首をかしげながらも「可」をそろっと貼った。
リュック、ショルダーバッグ、トートバッグ、3WAYバッグ・・・
「ん???!」
ストール、マフラー、スヌード、ショール、スカーフ・・・
「なっっっ??!」
あとは想像通り、コートやジャケットやスキニーパンツやジーパンやワンピースや・・・
といった具合にクローゼットはいっぱい。
(しかもご存じのとおり彼女はあまり出かけない。)


あとは本だ。
借りたり売ったりすればいいのだが、
まず借りると期限内に返却しなければならないのが彼女はストレスだし、
また読むかもしれないと思うと売れない。
しかも彼女は前にも読んだことに気付かずにまた買ってしまうということがあって
(彼女はタイトルと目次と文体をみて1分以内に買うかそのまま戻すか決めてしまう。)
これは増えるばかりなのである。


彼女はなるべくものを持ちたくないと思っている。
その最たるものはおそらく家だろうと思っていて、
万が一、家のほかに別荘を何軒も持てるようなお金を持ったとしても
家だけは買わないだろうと思っている。

しかし、なぜこんなことになってしまったのか。
いくら家などに縛り付けられず自由でいたいと思っていても
これでは同じことだなぁ、と彼女は苦笑しながらなんとか大掃除を済ませたのだった。


-彼女の話

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