彼女の話

彼女を掴んで離さない幸せなもの

投稿日:2016年12月23日 更新日:

冬の寒い日のこたつほど彼女を掴んで離さないものはないし、
これほど彼女に幸せをもたらすものもなかなかない。

こたつにかかる電気代は機種にもよるが1日つけっぱなしにしていても
「50円くらいで済む」らしい。
彼女は「たった50円でしあわせを感じられるのだから自分はとてもお手軽な人間だよなぁ」
と思っている。
彼女はブランド物のコスメやアクセサリーよりも断固としてこたつに価値を見出している。



休みの日の彼女はこたつに入る前に色んなものを準備する。

本、スケッチブック(こういう時彼女は自分の絵は色を使わないからお手軽だとありがたがる。色を使うともうもっともっと煩雑になってしまうから)、漫画、DVD、ノートパソコン、ペンケース、ランチョンマット(飲食物は必ず決まった場所に置かれる)、お菓子、あたたかい飲み物かお酒、たたまれるべき洗濯物、記入すべき書類(もしあれば)、家計簿につけるレシート、手帳、ココナッツオイルまたはワセリン(こたつによる乾燥は避けられない)、イヤホン、電子辞書、ティッシュ etc,etc…

まだあるかもしれないが、
とにかくこういったものでこたつ上部と座椅子の周りを「わーーーっ」と囲んでしまうのだ。
彼女は面倒くさがりなので、一度入ったら出なくて済むようにできるだけ必要なものは手の届く範囲にみんなみんな連れてきてしまう。

やらなければいけないもの、というものを除いては
ほとんどが彼女の好きなものが彼女を囲むことになり、
これが彼女を幸せにするもう一つの理由でもある。
彼女は最近これらをひとまとめに入れられる「ぐーたらボックス」をつくろうかと検討している。
それにすべてを詰め込めて、スタンバイのときに「わしゃーーっ」とひっくり返せばいいだけにしておけば完璧だ、と言いたいのだ。
これらに包囲されて暖まった空間に足をつっこむと「心も体もほくほくしてもう何も要らない」と思ってしまう。
(これは結婚願望の有無問題以前にハッキリ言って女性としてちょっと終わっているのではないか。)

例によってどうにも連れて来られないのがトイレ、ということになるが、
しかしこれによって途中で必要になったアイスなどをついでに供給できるからこれはこれでいいそうだ。



これだけ色んなものを連れてきていても彼女はそのすべてをこなすわけではない。
気分の変化が激しいのでどの気分にいつ切り替わってもいいようにすべてをそばに置いておくのだが、
それらのどれにも手をつけずにただ考え事にふけるだけという時も多い。

ただ暖かい存在が自分を包むということ、それ自体が彼女には大切なのだ。

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