彼女の話

彼女のじんましん2

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その後も彼女は突拍子もない痒みと肌のツッパリと腫れに襲われた。
時には顔だけでなく、首や鎖骨辺りまで赤くなることがあった。
ほとんどは夜だったが、出勤まえに起こるとすごく焦った。


彼女はキノコが大好きで、ほぼ毎日欠かさず食べる。
キノコが食べられなくなったらすごく悲しいなと思った。
それから牛乳やヨーグルトやチーズも毎日口にする。
ないならないでも構わないが、手軽にとれる栄養源、不便な気もした。
豆腐や厚揚げや納豆、枝豆などの大豆類。
好きだし、肉をあまり食べない彼女にとっては大事なたんぱく源だ。

そしてアルコール。

彼女は少し嫌な予感がしていた。
全然飲まない日もあるが、ほぼ毎日飲んでいる。
彼女は体が過剰な免疫力を行使しているのだとしたら、
それはアルコールに対してかも知れない、と白ワインを眺めながら考えた。


また別の夜、ワインを飲みながら食事を作っていると
再びあのパリパリ感が顔を覆ってきた。
彼女は一瞬ハッとしたが、もう数回目ともなると落ち着いて鏡を覗けた。

じわじわと自分の顔に顕在してくるそのまだらな赤を眺めているうちに
彼女はなんだかバカらしくなってきた。
顔が赤くなるから一体何だっていうんだ!
今はこれが飲みたいんだ!だっておいしいからね!!
これでたとえ死んだからって最後においしいものを口にして死ぬんだからそれはそれでいいじゃないか。

彼女は半ば強引に飲み続けた。
痒みはどんどんひどくなっていったが、
心の中で「うるさいうるさいうるさーーい!」と悪態をつきながら我慢した。
絶対に掻いてやらない、と思った。


食事が出来上がってテーブルについたころ顔の腫れは少しひいていた。
この日の夕食はもやしとシメジのビーフンで所要時間はそこ20分もかかっていないだろう。
彼女は「勝った」と思った。
意味は分からないが、とにかく満足してその日の食事を摂ったのである。


-彼女の話

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