彼女の話

彼女と絵: 『私は絵の中で、音楽のように何か心慰めるものを表現したい(ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ)』

投稿日:2016年11月26日 更新日:

彼女が世界でいちばん好きな黄色はゴッホの『夜のカフェテラス』の黄色だ。

ゴッホが黄色を多用したのは有名な話だが、例によって彼女も世界中の多くの人たちと同じくあの黄色を愛している。

ゴッホは弟テオへ送った数多くの手紙の中で

『檸檬の皮のような黄色』だとか『バターを溶かしたような黄色』だとか表現しており、

それを何で読んだのだったか憶えていないが、とにかくそれが彼女がゴッホをみるきっかけになった。

「それがたとえ色弱だかのせいだったにせよ、ただ思わず微笑んでしまった」そうだ。

 

なぜ日本人がこうもゴッホに惹かれるのかわからないが、わりと彼の作品は公開される機会が多く、

とにかくそのおかげで彼女も数回彼の絵に会うことができている。

(残念ながら『夜のカフェテラス』にはまだだが。)

 

彼女はゴッホは仮面を持っていなかったのだろうか、とときどき考える。

あまりにも情熱的で極端すぎる彼の言動を知って、彼が素のままで心も体も動き回っているからだ。

現にゴッホは『このままの自分を受け入れてもらえることだけを望む』などと言っていて、

彼女は「乱暴なことを言うんだよ」と羨望を込めて笑った。

 

「人は仮面をつけずに生きるとこうなるのかもしれない。自由かな、彼は死ぬことでしか楽になれなかったけど。

仮面かぶっててもかぶらなくても同じならかぶらない方がいいかな」

 

『私は絵の中で、音楽のように何か心慰めるものを表現したい(ゴッホ)』

彼は若い時からちょっと、いやかなり”クレイジー”だったが

それでもほかの誰かをみてその誰かのためにいつも不器用に動いていたのだ。

 

「私はいつも自分のことを見てる。満たされないは物足りないのは自分のことばっかり考えてるから」

 

ゴッホは37歳で死んだ。

『夜のカフェテラス』の1000ピースのジグソーパズルを完成させてしばらく飾っていたが、

彼女は昔お金に困ったときにそれを売っている。

 

ゴッホ
 

注)本文中のゴッホの言葉や彼にまつわるエピソードは彼女がこれまで訪れたゴッホ展や印象派展また読んだ本などの記憶から引用したものであり事実と異なる場合があります。またそのために出典が分からなくなってしまっており、これにより何か不都合がある場合などはお手数ですがご連絡ください

-彼女の話

執筆者:

関連記事

noimage

嫌い

好き嫌いが激しい彼女の、今日は嫌う話だ。 誰でもときどーき会うことになる”どうも合わない”と困ってしまう人というのがいる。 生理的に受け付けない、というやつだ。 試しに今”生理的”を辞書でくってみたの …

表面下の世界

表面下の世界

「表面の世界でも生きていける。 そしてそれはそんなに悪くない。」 自分は一体何を表現すればいいのだろう。 文字を綴れば、黒鉛を重ねれば、世界をつなげれば、 それらを続けて行けばどこかに直角が訪れるのだ …

noimage

幸せは手さげ袋の中に。

今日彼女はとても幸せな気分で笑った。   彼女にはときどき顔を合わせるおじさんがいる。 おじさんといってももう初老の、おじいさんだ、とご本人はいうのだが。 この初老のおじさんはいつも元気でよ …

たそがれ

たそがれ

彼女が一日の中で一番すきな時間はたそがれ時だ。 早朝の「キリっとパリッとした空気」も好きだが(彼女は早起きが苦手だし)、 その日一日あつく熱された世界を静かに穏やかに落ち着かせようとするあの時間には変 …

noimage

くろくなる光

「白いキャンパスに光を描こうとするとくろくなる」 彼女は自分が塗り上げたその黒さに絶望する。 久しぶりに会った彼女はひどく痩せていた。 まるで地球上の重力すべて集めましたといった重さの鉄板によって き …

記事内の彼女の絵や写真。
2019年8月
« 7月    
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  
にほんブログ村 メンタルヘルスブログ HSPへにほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へにほんブログ村 美術ブログへ