彼女の話

投稿日:

彼女はあんまり神様は信じていない。

いや、正確に言えば都合のいい時だけ頼っている存在があるにはある。
そんなときに「ああ、神様お願いです」と思ったりするけれど、
それがいわゆる神社や教会によくいる神様ではないようだ。
困った時に頼りたいその名前がわからないので、便宜上神様と呼んでいるに過ぎない。

ただし、日本で言われる八百万の神という存在は認めている。
いや、再び正確にいえばそれを神と認めているわけではなく、
八百万の”魂”としてその存在をいつも感じているのである。
いわゆるプシュケってやつだろうか。

以前に彼女はある宗教に誘われたことがある。
誘われたといっても勧誘と言うほどでもなくそういうものもある、と提案された程度だ。
その前から彼女はその人のことをとてもいい雰囲気をもった人だなぁと思っていた。
だからそれが自分が入信している宗教によるものだと言われて少し意外な気がした。
本当にそうであるかどうかは別としても、
「実際に見えない何か(※)を純粋に信じている人」という存在を
思えば彼女は生まれてはじめて見たような気がした。

彼女は単純に何かを信じられるっていいな、と思った。
それがたとえ自分だけであってもこれだけは絶対だと信じられるものが無性に欲しくなった。
自分にとって決してそれが神だとは思わないけれど、
見えないものでも見えるものでも自分も何かを信じて生きたい。
僕は八百万の魂たちを信じているのならそれでどうかと提案してみたが、
彼女はあまりしっくりこないようだった。
そういうのはたったひとつがいいんじゃないか、ということらしい。
申し訳ないが文字通り800万もは要らないのである。

松岡修造なら自分を信じろ!とかいうかもしれないし、
僕も彼女がそうできたらいいなと思う。
残念ながら彼女自身は信じるにはあまりにゆらゆらしている。
恒久的で安定していて彼女がその存在をいつも感じられるもの。

あなたにはそんな神のような存在があるだろうか。




(※たとえば愛だって目には見えない。
信頼も正義も見えないが、でもそれらはそこにあるというみんなの暗黙の了解のもとに
家族が作られたり約束が守られたり何かと闘ったりする。
そういう理由で今回の彼女の言う実際に見えないものの中に愛とか正義は入らない。
ついでにいうと彼女は「言っちゃ悪いが神様たちはみんなの了解は得られていないと思う」と言っていた。
それ、バチあたらない・・・?)

-彼女の話

執筆者:

関連記事

noimage

どきどきする

彼女はときどき動悸がする。 甲状腺に軽い疾患があるためそのせいかもしれない。 一度始まると立ち上がるだけで息が上がるようになってしまうため できればおさまるまで深くゆっくり深呼吸しながら横になっている …

純音の朝

純音の朝

いつまでこんな夜を いつまでこんな朝を 一体いつまで、続けるのだろう。 どうしてこうなってしまったんだろう。 どうしてこんなにもひとりになってしまったんだろう。 毎朝聴くあの無機質な音。 彼女自身が作 …

noimage

落ち着かない人生

彼女は昔からどうも落ち着かない人生を送っているようだ。 ”波乱万丈だね”と言われることの多い生活なのである。 そして人によっては、彼女自身がそうしている、そういう選択をしているところがある、と言うので …

noimage

燻る-くすぶる

彼女はある夜自分の中が激しく噴火したがっているのを感じた。 くやしい くやしいくやしいくやしい!! 怒りのような欲求不満のようなハラワタがとび出てきそうな そんな不快感。 そして熱。 食いしばった歯の …

noimage

彼女の一番古い記憶

-覚えている限りの一番古い記憶がわかるか。 「わかる」   -何歳頃だったと思うか。 「3歳から5歳…たぶん、3歳か4歳だと思う。」   -思い出した記憶には色がついているか。 「 …

表面下の世界

2019/01/16

表面下の世界

渇き

2019/01/07

渇き

秋晴れ

2018/11/24

秋晴れ

記事内の彼女の絵や写真。
2019年4月
« 1月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  
にほんブログ村 メンタルヘルスブログ HSPへにほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へにほんブログ村 美術ブログへ