彼女の話

彼女の世界の胚胎

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彼女は自分のそんな世界に気付いてから、少しずつ幸せになれるような気がしている。
「これだから自分は自分の人生を認められない」と思っていた頃に比べれば
今は食事を作った時にいつまでもキッチンに残る生姜のふんわりした香りとか
風に揺れる洗濯物を眺めたりだとか、
少しだけ有名な画家の描いたカレンダーの絵を見つめたりだとか
そんな何気ない生活の一片がとても愛おしい。

今でもみんなと同じ世界にいたいと思う。
その中に自分も染まりたいと思う。
そこはどれだけ温かく、不安のない世界だろう。


そこに無理に入っていくことも、そこで生きていくこともできない。
少なくとも今は。
でも今のこの世界を認めて愛して描いて書いてそれを続けていれば、
みんなの世界とのトンネルがいつか貫通する気がするのだ。
自分の意思で行ったり来たりできるような、みんなの意思で来たり出たりできるような。
自分が自分自身の世界を否定するような、そんなかわいそうなことはもうしないのだ。

それでいい。
それでいい。
ここが始まり。
今は”ぶっ飛んでる人”でも。
それでいいよ。
そこはとても明るいから。



彼女の世界の胚胎

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