彼女の話

彼女の中から消されるということ

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彼女はあの日以来未だに少しふさぎ込んでいるのだが、
今日はだいぶ浮上してきたようだ。

というのも朝からある知り合いとずっとオンライン上で話をしていたようで
それで気が紛れてきたようだ。
相手が慎重で明るい人物で良かった、と僕は思った。
彼女は時間を共有している人の気分に左右されやすいが、
言ってみればそれだけ単純ともいえるのかもしれないな、とも思った。
ただしむやみに元気になれ元気になれと言っても彼女をイラつかせるだけなので、
慎重で穏やかである程度強さのある人というのはこういう時心強い。
こういう人がいつも彼女のそばにいてくれるといいのかもしれないが、
そういうわけにもいかない。


それでも彼女はその後また少し違う複雑さを抱えたようだ。
最近彼女は「みんな死んで消えてしまえばいい」などと思っていたようなのである。
これには僕も仰天した。
彼女自身もそのことにまたびっくりしていた。
これまで彼女は「死ね」なんて言葉を心の中でさえも思ったことはなかったし、
そんなことを冗談でも言う人がいれば、「それでほんとに死んでしまったらどうするんだ・・・」と
本気で心配してしまうような人間だったのである。

今日前述の知り合いと話しているうちに、
彼女はそんなことを思うようになってしまった自分に気付き
ひどく幻滅した様子だったが、
それでもなお「やっぱりみんなみんないなくなればいいと思っている」と呟いた。

しかしそんなことはハッキリ言って大したことではない。
だれだってそんな悪態をついたことくらいはあるし、
実際にそんな暴言を誰かに思いッきり心の底から吐くやつだってこの世にはごまんといるのだ。
まして現実に殺したわけでもない。
僕はそう言ってみた。

「私の中で、殺して行っているような気がするのだ。」と少し諦めたような様子で言った。
「何人か消えようとしているような気がする。」とも言った。
それでいてその諦めたような顔は少し吹っ切れたような、少し明るいような顔なのである。


僕はよくわからないが、心の中で誰かを殺して消してしまうのは不健康なことだろうか?
精神衛生上健全ではないのだろうか?
彼女が誰かを葬ったとしてそれはどう現実世界に影響するんだろう。
心持ちが今は浮上してきたとしても、
あとで何かしっぺ返しみたいなことが起こったりするのだろうか?


僕は少し怖い気もするが、とにかく彼女がちょっとでも元気になったことを
今は良しと考えることにしようと思う。

-彼女の話

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