彼女の話

彼女の恥

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彼女はどうやら「ものすごく恥ずかしいこと」をしてしまったようだ。
ある人と話しているうちに頭にきて派手に口喧嘩をかましたらしい。


そんなことはなんの恥でもない、生きていればそんな経験の一度や二度はあるはずだと思われるかもしれないが、
これは彼女にとっては死にたくなるような事態に違いないのだ。
ついに彼女の仮面の一部がいやその大部分が剥がれてしまったのだから。


言いたいことをもうボロクソにぶちまけて来たようで、
話を聞いているうちに彼女が人前でそんなに感情を爆発させることができたのか、と驚いた。
死にたくなっている彼女には申し訳ないが、おめでとうと言いたいくらいだ。

彼女は自分は今まできちんと人と接して来なかったから
いい歳してあんなことになってしまったんだ、と言うが
別に社交的で友人や知り合いがたくさんいる人だって、年とっていたって
感情に任せてモノを言うことはあるのである。


彼女が今恥だと思っているものは、間違いなく彼女自身の情動でありその解放だ。


僕は何が彼女をそうさせたのか、よく聞いて考えてみた。
ここではあまり分析などしないつもりだったが、ここでは大事なことなのである。

ひとつは、
そのとき飲んでいた、ということ。
酒を飲んでいてもそこに他人がいれば彼女はいつだって理性的だが、
やはり少し緩みがでる、ということか。

ふたつめに、
相手だ。
相手がどんな人物だったのか。
彼女はあまり人に興味を持たない。
「どうでもいい」と思っているところがある。
だから今まで感情を出すまでもなく、どんな時でもただ眺めていたはずだ。
今回彼女はこの相手にそれがたとえ『怒り』であっても、
それを出さずにはいられなかったのだ。

一体どんな相手だったのだろう。


僕は彼女にとりあえず大丈夫だ、と言い聞かせたが、
彼女は怒ったような困ったようなほっとしたような、ぽかんとした顔で僕をみている。



彼女の恥

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