彼女の話

抑圧と創造

投稿日:2016年12月21日 更新日:

彼女にはしばらく絵を描かない時期があった。
描けなかったのか、描こうとしなかったのか、なんとなく理由をつけて描かなかったのか、わからない。

また描き始めたとき、
彼女は以前ももしかしたら描いているようでいなかったのかもしれない、という気がしてきた。
「一体何を描こうとしていたのだろう」
彼女はなにかいいものを描こうとしていた。
自分の中の何かが出てこないようにおしこめておしこめて、
絶対に出てこないようにおしこめて。


今は前より描くのが楽になったような気がしている。
なにかことあるごとにふわふわと手が動く。
彼女は絵を勉強したわけはないので、別にうまくはない。
ただ思いついたところに点を打つ。
画用紙に点を打つごとに描いた点の周りにかすかにインクが染みていくのを確かめる。
ひとつの小さな点が静かに何かの意味を帯びてはじけていく。
それはとても不思議な感覚で彼女を包み込む。


すべてをはきだすために彼女はまだ抱えている。
彼女は慎重で正しくあろうとしている。
まだたくさんのボタンがきちんとかけられているのに彼女は気づいたばかりだ。






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