彼女の話

愛する自信・愛される自信

投稿日:2017年4月1日 更新日:

僕は待つつもりだったのだが、思いがけず彼女が口を開いた。
それは彼女がコラージュをしているときだった。

「私は頭がおかしいんじゃない。
愛する自信も愛される自信もないだけなのだ」
それはとてもネガティブでポジティブな二言だった。


彼女が寝た男、の付き合っている女性のことを彼女は嫌っていた。
どんなに猫を仮面をかぶっていても彼女は心の奥底では嫌っていたのだ。
それと同時に彼女がその男のことが気になっていたのは間違いない。
自分が気になっている男が嫌っている女と付き合っている。

でも彼女はこの男と寝たときは確かにこの男が欲しいと思ったのだが、
後にはそれは愛にも嫉妬にも依るものではない、と気付いた。


「みんな単純ね」と彼女は言う。
男と女が複数いたときに起こるトラブルはすべて愛だの恋だの嫉妬だの、って。
彼女も自分自身のことを「危うく」そうなのだと思いかけた。
そんなものに翻弄されそうになって、
そしてそれを認められない自分は頭がおかしいんだと思っていた。
しかし彼女にとってはそんな「単純」な話ではない。


じゃあどんな話なのかというと、それは
好きとか悔しいとか以前の問題なのだという。
そういうもの以前に彼女は人を信用できない。
だから誰かを愛したり愛されたり、その方法もやり方も分からない。
でもそれを他の誰かが簡単に素直に間近で通過しているのをみて、
彼女はそれを妬んだのだ。
これが長いこと沈黙の雨にさらされた彼女が見出した答えのひとつのようだ。


今はそれしか分からないが、
それは大きな一歩で答えで何かのスタートでもあるような気がしてならない。

-彼女の話

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