彼女の話

コラージュ惹起

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コラージュとはチラシとか雑誌とか新聞とかの切り抜きや、
麻布とか糸とか針金とかを紙やキャンパスに貼り付けられてできる作品たちのことだ。
誰でも一回くらいはみたことがあると思うのだが、
自分の好きなものを選んで切って貼り付ける。
アート作品もあるし、心理療法として採用されることもある。


彼女は手帳をもう何年もつけているのだが、
いわゆる”手帳”を買うのではなく、罫線が入っただけの、または白紙の小さなノートを買う。
それに自分で線や年月日を毎月書き足していく。
それとは違う色で予定ややることを書きこんでいるのだ。
10代の頃は手帳を買っていたが、どうもどれも使いにくく、
結局は自分で好きなように使えるようただのノートを買うようになった。
(彼女は文や絵を唐突にかきだすので)
彼女の手帳は1冊が数年数ヶ月に渡っている。


彼女の手帳はどこに何をしてもいいので、コラージュも多くされている。
最初は余白がやたらと多いページが気になったり、
気に入ってとっておいた切り抜きの保管場所に困ったりしてとりあえず手帳に貼りだしだ。
このコラージュのおかげで彼女の手帳はかなり分厚くなっている。
パッと見、すごく忙しい人の手帳みたいになっているが、中身は絵や写真なのである。


コラージュといっても手帳に適当に貼られているものだから、
彼女の好きな写真や絵がべたべたと貼られたその隙間に
「ガス屋にTEL」とか「ニーチェの言葉」とか唐突に唐突な言葉が並んでいる。


いろんな素材を切り貼りしている彼女はとても幸せそうだ。
どれもこれも彼女が好きなものなのだから当然だが、
そんな「好き」を重ねているうちに彼女はふと気づくことがある。

それは身の内に巣くう問題であったり感情であったりする。
そしてそれは時によって彼女の頭の中の深い霧を晴らすような情動であったり気づきであったりする。
気付きたくもなかったような事実であったり、嘘であったりする。
他人のものであったり自分のものであったりする。

-彼女の話

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