彼女の話

冬の彼女

投稿日:2017年1月14日 更新日:

ハッキリ言って冬の彼女はまるで役に立たない。

朝はますます起きなくなり、ぎりぎりまでコタツに居座り、外に出たくないとばかり考えていた挙句仕事に行くのに仕事着を忘れ、遅刻寸前に出社、帰ればエアコンとコタツの電源を真っ先に入れ、温まるまで寒いという理由で熱いお湯を浴びにバスルームへ行く。それから運よくキッチンに向かう気になれば夕食をコタツへ運ぶが、それに耐えきれない寒さ(もうエアコンも効いているのだから大したことはないのだ!)だとコタツへ直行し、空腹をガマンしてでもコタツに居座る。たまたまその辺にお菓子でも転がっていれば食べることもあるが、本を読み始めたり絵を描いたりパソコンに向かえば気も紛れるので空腹はあまり気にならない。

とにかく彼女は寒いのがとても!キライなのだ。
しつこくて申し訳ないが、彼女は寒さほど自分を不幸にするものはないのではないかと思っている。
彼女は真夏の40度近い暑さを経験しても、真冬よりはマシだと思っていた。

冬の彼女は部屋がどれだけ散らかっていこうと、冷蔵庫にモノがなくなろうと、たとえ何かに遅刻することになったとしてもずっとずっとずっと温かい空間にいることだけを目指している。
だから冬の彼女はますます外に出なくなってしまうのだが、
やむなく出かけなければならなくなった北風強く雪が散らんばかりのある夜、
彼女はもうどうして今こんな時に自分は外にいなければならないのかといい歳してぽろぽろ泣き出してしまった。

なんとも打たれ弱いだけ、運動でもしろ、と言ってしまえばそれまでなのだが、
僕はときどき寒さに異常に震える彼女をみて、
ひょっとしたらそれが彼女をいつか殺しうるような、そんな怯えにもみえてしまうことがある。

彼女は引っ越しをするとき、その空間のすべてが即効で暖かくなるようなこじんまりとした城をいつも選ぶ。

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