彼女の話

彼女と時計

投稿日:

彼女の城には時計がない。
もう何年も置かない。

とにかく彼女はあの秒針のカチコチ音が大嫌いだ。
他の空間で寝なければならない時などはどこかに隠してしまうが、
そうできるときとできない時がもちろんある。
(ちなみに友人Nの家に泊まるときはこの秒針音に加えて、
コードレス掃除機の充電ランプがピカピカ光るという苦痛が加わる。
自分の掃除機を買った際はこの点も考慮した。
黙って充電できないのかとNに抗議するもNはまったく気に留めなかった。)
 
最近はスイープセコンド時計と言って、滑るように秒針が進み音が鳴らないものもあるのだが、
実はこれも構造上うっすらとごく小さく小さくではあるが音がなってしまう。
彼女は店で無意識にこのタイプの時計にも耳を当ててしまったばっかりに
この知らなければ気づかなかったかもしれない音に気づいてしまい、
このタイプの購入もやめてしまった。
 
もう一つは設定した時間になると秒針が止まる、という時計が最近あるようで
にわかに気になってはいる。
 
なぜ時計の話かというと彼女がもう10年以上使っている腕時計の電池が
また切れたからである。
時計のない空間で仕事にも行かなければならない彼女にとって
スマホはよくバッテリーが切れているか行方が分からなくなり、
パソコンもテレビもついていないことが多いので、
いつも腕時計で時間を確認することになる。
腕時計も外出時以外はつけないが、
彼女にとっては必須のものなのでいつも居場所が明らかだ。
 
電池が切れたことにきづいてこの1週間、彼女はかなりの不便を強いられた。
電池を買いに行けず、たかだが何時なのか知るのに
まずパソコンの電源を入れる、
またはテレビのリモコンを探す(あまりつけないのでぞんざいに本の中に紛れていたりする。)
もしくはスマホの充電をするといった手続きを踏まなければならなかった。
 
今日彼女はやっと手に入れた新しい小さな電池をそばに
腕時計の裏蓋をこじ開けながらやはり時計を買うべきか考えていた。
 
おそらくは次回またこの電池の寿命がやってくるまでこのテーマは忘れられることになるが。

-彼女の話

執筆者:

関連記事

noimage

彼女の年賀状

世の中はクリスマスが迫り、年の瀬が近づき、なんとなく気ぜわしい時節だ。 彼女にはクリスマス一緒に過ごす人もいないし、正月に帰る家もないので この時期も格別予定を考えたりすることもなく、毎年いつもの日々 …

noimage

女の価値観

彼女はいわゆるなんでも一人で自分でやってしまう人で、 いわゆる男性が守ってやりたくなるような「か弱い」女性ではない。 それどころかそういう「女」を嫌っている。 たとえば届かないところにあるものを、取っ …

noimage

彼女は何の音もない世界にいるのが好きだ。 城の中は空気も動かないような静けさが横たわっている。 そんな時彼女は「ああ、なんて静かなんだろう」とその静謐に耳を傾ける。 嫌いな音が多い。 改造車やバイクの …

彼女がつくり、守ってきたもの

彼女がつくり、守ってきたもの

彼女はときどき放心している。 急に頭が重たくなってひどく眠たくなって頭を床に打ち付けるように倒れこむ。 目が覚めたとき、まるで眠っている間に誰かが頭に鉛を詰め込んでいったかのように さらに重たくなって …

noimage

満たされないのは

「どこにいても 何をしていても だれと話しても 満たされないのは 自分のことばかり かんがえているから」 関連

優しい時間

2018/10/19

優しい時間

noimage

2018/09/18

アンビバレンス3

棚

2018/08/29

記事内の彼女の絵や写真。
2018年11月
« 10月    
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  
にほんブログ村 メンタルヘルスブログ HSPへにほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へにほんブログ村 美術ブログへ