彼女の話

だれかのことを思うとき

投稿日:2016年12月25日 更新日:

今朝彼女の家には佐川急便やら郵便やらが入れ替わりたち替わりやってきて
大中小の箱をそれぞれ置いていった。
12月25日の朝、誰かから彼女へのクリスマスプレゼントだ。
彼女はみんなきちんとパーフェクトなタイミングで届けたものだと感心した。
(彼女は自分が贈ったものが果たして今日までに届いたか自信がない。)


彼女も昔はなんとなくクリスマスを冷めた目で眺めていたものだ。
商業的で大した信仰心もないのによくもまあ毎年毎年ここまでお祭り騒ぎができるものだ、と。
いつの頃か分からないが彼女があまりにも楽しそうな周囲をみて、ふと笑えてくるまで。


みんなだって別になんだっていいのである。
毎日が単調に過ぎていく中で、時々ゆっくりとしかし確実に近づいてくる何かの日。
バレンタインデーとか花火大会とか好きな映画の待ちに待った新作公開日とか。
わくわくできてささやかに日常を崩壊させるもの。


そしてそんな日に至るまで人は自分以外の誰かのことをよく思う。

最近何してんのかな
なんも言ってこないからまた忙しいかな
きっと変わらず本でも読んでるわね
誰かとどっか行くかな
引っ越すって言ってたけどどうなったんだろ
何贈ろうかな
好みが難しいんだよな


いつの頃からそれぞれのイベントの趣旨とか行事の意味とかはあまり重要ではないのだと気づいて、
彼女はなんとなくそわそわしてくる人たちを眺めながら年末を楽しめるようになった。


彼女が今日受け取った箱には新年から使える本革の財布(わお!)、大判のストール、靴下、大量のお菓子やカードがそれぞれ詰められていた。

「こんな自分のことを自分の知らない時に知らない場所で考えていた誰かがいた、という確実な事実が私のおなかをあたためる」

彼女は毎年そうしているようにプレゼントとカードを部屋の一番目につくところに並べた。



だれかのことを思うとき

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