彼女の話

何もない日

投稿日:

朝早く起きられたということ。
シンとした空気に触れられたこと。
本を読めたこと。
朝食をいつもより多く食べられたこと。
日焼け止めをきちんと塗って外出したこと。

通勤ラッシュの中知らない誰かが車を止めて横断歩道を渡らせてくれたこと。
信号や踏切にあまりひっかからなかったこと。
小さな子どもがまだ短い足で一生懸命歩いていたこと。
母親がその幼い手を横で握っていたこと。

職場でたくさんの人が笑顔であいさつをしてくれたこと。
ささいなことで大笑いし合えたこと。
知りたいことがまだまだたくさんあること。
上司が時間きっかりに上がらせてくれたこと。

日が落ちて涼んだ風が気持ちよかったこと。
作り置きしていたおかずがおいしかったこと。
久しぶりに観た『紅の豚』がやっぱり最高だったこと。
きちんと洗濯を夜のうちに済ませられたこと。

とてもとても疲れてよく眠れそうだということ。


何ものにも心を乱暴に揺さぶれることも
激しく鼓動を打つような事態も、何もない日。
彼女はこんな小さなことをイチイチ記憶に留めて大切に思い返すことができる。
そしてそのことに感謝している。



-彼女の話

執筆者:

関連記事

noimage

とどめようがないこと

暗い気持ちでいることは悪いことじゃない。 みんなポジティブに前向きにって疲れるんだよ。 ネガティブだからダメなんだって、だれが決めたんだろう。 自己啓発本か脳科学か誰かの経験則か。 恨みも怒りも妬みも …

noimage

アンビバレンス3

僕は彼女に何か言うということはほとんどないのだが、 この日はなんとなく口にしてしまった。 君が時々行っちゃうあっちの世界だけど、別に完全にさよならすることはないんじゃないの。 彼女は相変わらずの寝ぼけ …

noimage

忘れていく彼女 -感情

前回と前々回のつづき 彼女にはときどき顔を合わせるおばあさんがいる。 顔を合わせても話すときもあるし、話さないときもある、 それくらいほんの少しの時間一緒にいるおばあさんだ。 そんなおばあさんが小学生 …

知ること

知ること

彼女はいつも何かを考えている。 「考える」とは一見思慮深く大切なことのように思えるがなにごともやりすぎはよくない。 彼女は考えることを止めることができない。 ひとは脳で「考える」。 「考える」と感情が …

noimage

彼女の正月

休みの前の彼女は完全に引きこもれるだけの食料と本とレンタルDVDなどを調達する。 ただし今回の連休はそれに加えて、きちんと年末の大掃除を済ませ、 年越しと新年の準備も欠かさなかった。 ひとりで新年を迎 …

優しい時間

2018/10/19

優しい時間

noimage

2018/09/18

アンビバレンス3

棚

2018/08/29

記事内の彼女の絵や写真。
2018年11月
« 10月    
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  
にほんブログ村 メンタルヘルスブログ HSPへにほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へにほんブログ村 美術ブログへ