彼女の話

彼女と自転車

投稿日:2016年12月27日 更新日:

彼女は車の免許をもっていないので、
必然的に移動は徒歩か電車やバス、そして自転車となる。
中でも自転車は彼女にとってとても愛着のある存在である。
エコで経済的で健康的、そして大体いつどこに行くにも一緒だからだ。

しかし彼女は普段そんなに自転車のことを気にかけているわけではない。
年に一回点検くらいには行くし、空気入れも行うのだが、
大してクリーニングを行うわけでもなし、わりとぞんざいに扱ったりする。
少しきーきーがなるブレーキもオイルを塗らずに放置したままだ。


しかし不思議に天候が悪い時などは
いつもふと「あの子は大丈夫だろうか」などと思い出して
わざわざ様子を見に行ったりしてしまうのだ。
特に雨の日は駐輪場で自分の赤い自転車が横なぐりの雨に当たっている姿をみたりすると
とても胸を痛めてしまい、さりげなく場所を移動させてしまったりする。

一度タイヤがいたずらされてパンクしていた時も
「かわいそうなことになってしまった。置き場所が悪かっただろうか」としばらく自責の念にかられたりしていた。


彼女は自分でもこの淡白と愛着という少しアンビバレントな感情をどうにも処理できずにいて
ときどきこの自転車との付き合い方に戸惑ってしまったりするのである。


-彼女の話

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