彼女の話

彼女の右後ろと左斜め前

投稿日:

彼女はいつの頃からか死をごく親しみのある近しい存在に感じるようになっている。
いつ、どうしてそうなったのかは分からないが、
彼女は”それ”が”そこ”にある、ということを感じるのだ。

ちなみに”そこ”というのは彼女の右肩後ろ辺り。
彼女が勝手にそれを死だと認識しているだけかもしれないが、
彼女にとってそこに何かがいるということは確かなのである。
(ちなみに”肩に何かが乗っている”とかいう類のものではない、らしい。)



彼女のスキン・ピッキングは最近ひどくなっていて、
その左親指はもう治癒を許されることがないかのような風体になっている。
彼女が手を加え続けるからだ。
親指は幾度となく再生を試みるのだが、彼女はむしる隙間がないと
カッターを使ってでもでこぼこの皮膚に決定的な歪みを持たせ
そしてその裂け目から表皮を剥がす。
ティッシュ一枚が真っ赤になるほど出血は止まらない。
それでも彼女はまだ剥がせるところはないかと皮膚のあらを探す。


彼女は右後ろに死を感じながら、左斜め前にあの少女を感じている。
彼女は最近多くを話さない。

-彼女の話

執筆者:

関連記事

スペクトルの中の零れる虚しさ

スペクトルの中に零れる虚しさ

どうしてこうなってしまったんだろう。 彼女は後ろを振り返ると、 嬉しかったことや楽しかったことをよく思い出す。 それなのになぜだか彼女は生まれて来なくてもよかった、と思っているのだ。 正確には彼女がハ …

彼女と大きな存在

彼女と大きな存在

彼女は大きいものをこわがる。 おそらく巨大物恐怖症というやつだと思われるが、一番最初に怖がったものは壁画だった。 小学生の時に学校行事で訪れた公民館に大きなモザイク壁画があり、 振り返った目先に突然現 …

noimage

コラージュ惹起

コラージュとはチラシとか雑誌とか新聞とかの切り抜きや、 麻布とか糸とか針金とかを紙やキャンパスに貼り付けられてできる作品たちのことだ。 誰でも一回くらいはみたことがあると思うのだが、 自分の好きなもの …

noimage

どきどきする

彼女はときどき動悸がする。 甲状腺に軽い疾患があるためそのせいかもしれない。 一度始まると立ち上がるだけで息が上がるようになってしまうため できればおさまるまで深くゆっくり深呼吸しながら横になっている …

noimage

彼女とHSSと著作権と僕

最近まで僕は”彼女のHSPあるある”というページを設置していた。 彼女のことをメインにつづるこのブログの中で唯一他のHSPに向けたページだった。 何か彼女に共感しやすい接点を他のHSP達が見つけやすい …

記事内の彼女の絵や写真。
2019年10月
« 9月    
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031  
にほんブログ村 メンタルヘルスブログ HSPへにほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へにほんブログ村 美術ブログへ