彼女の話

彼女はそんなふうにできている

投稿日:2016年12月13日 更新日:

彼女は自分は風邪をひかないと思っている。

はっきり言って彼女がそう妄信する根拠は何もないのだが、

強いて言えば彼女の体温が高い、ということはあるかもしれない。

37度ある日もざらで、

検診などで毎度微熱がありますが体調悪いですかなどと訊かれてしまう。

一応「いえ、いつもです」と応対するのだが、

困った顔をされるか笑われるかであまり信じてもらえないので、

最近は(別に悪くもないのに)「そうですねちょっと具合悪いですね」とか

「いえ快調です」とだけ答えるようにしている。

 

普段から体温の高い彼女は多少熱が出ても割と平気に振る舞えてしまう。

人生でたった一度だけインフルエンザに感染した時は

気付かないままま仕事をこなして帰ってしまった。

職場では今日の彼女はテンションが高かったなぁくらいにしか思われなかったそうだ。

(彼らもあとで実は39度もあったと知って仰天するのだが。)

 

話はそれたが、(インフルエンザには一度負けてしまったが)

とにかく体温の高さという免疫力でそんじょそこらの風邪くらいは確かに撃退できるかもしれない。

しかし彼女はそれよりも自分自身強力にただそう思っているのだという。

自分は絶対に風邪をひかないようにできている人間なので

鼻をすすって風邪ですか?と訊かれても「いえ、私風邪はひかないんです」と飄々と答える。

周りから見ればなぜそんな虚勢をはるのだと思われそうだが、

実際に彼女はそれで欠勤したり、せき込んだり、発熱したりしない。

鼻水が勝手に垂れてくるなぁと思ってそれで終わりなのである。

もう一体いつ最後に風邪にであったかも憶えていない。

彼女はそんなふうにできているのだ。

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