彼女の話

腱鞘炎

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彼女は最近線を描く。
あまりたくさんの点がかけなくなってしまったからだ。


会う医者や治療者によって腱鞘炎だと言われたり手根症候群だと言われたり色々だが、
とにかく昔から彼女は手をよくやられる。
腱鞘炎も手根管症候群も一度なるとなかなか治らないらしいので、
手術となるほど症状がひどくならない限り、日々うまく付き合っていくしかない。


点を無数に打っていく作業は作り上げられていく彼女の世界が毎回違っていたとしても
結果として指や手や腕にとっては同じ動作が延々と続くことになり、
彼女の筋肉や神経を刺激し続ける。
マッサージでほぐしたり、ストレッチをしたりするのだが、
その作業に追いつかないことが多く、彼女の腕はいつもかなり張っている。


右手がすぐにダメになってしまうので、最近は無理に左手で点を打っていたが、
普段使わない筋肉を急激に疲弊させてしまったので、指がつるようになってしまった。
使いすぎた手はその原因となっている作業をやめることが一番の治療となる。

彼女は仕事でも手をよく使う。
時々朝起きると寝てる間に固まってしまった筋肉に激痛が走ることがあり、
これ以上は仕事ができないと彼女は悲しそうにペンを置いた。
彼女も生きていかなければならない。


点を打たない代わりに彼女は鉛筆をゆるくもって、線を描くようになった。
急に線を描くようになっても何を描けばいいか分からずただたくさんの線を描いている。

彼女はいつも気分によって手をつけたい絵が変わるので、
何枚かの絵が同時進行されていることが多い。
できるときは数枚が一斉に描き終えられたりする。

今描きかけの点描画はおそらく6枚。
それらに思いを馳せながら線を描いていると、なんだか浮気でもしているような気がして
少し涙がでるという。


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